諸処あって、義実家に行って来た。


義父の七回忌の擦り合わせやネット環境の事などを、三兄弟に共有しておきたかったので。


契約書やルーターの回線説明書を一冊のファイルにまとめておいたが、何かあった時の為に在処を知らせておかなければ困る。


前回の山林売買の時には「関係無いから。」と、義弟は義妹(嫁)を連れて来なかったが、今回は残念な事に連れて来ていた。


来年の3月に七回忌を手配したけれど、サラリーマンにとって3月は繁忙期にあたる。


それで一年近く前から住職にお願いし、三兄弟に予定を空けておいて貰う算段を取った。


三兄弟の予定を聞かず予定を決めたのは気が引けたが、一人一人の予定を訊いていたら決まるものも決まらない。


それをリビングで寝転がりながら聞いていた義妹が、少し不満そうな顔をしていたが、私と同じ専業主婦なので無視する事にした。(義妹はアマチュアの歌手)



昨年から義実家に通い整理した写真を、義弟たちに渡したり、持ち主が分からない物を見て貰った。


義妹は相変わらず寝転がったままスマホを弄っていて、私はカチンと来て「お昼寝してれば?」と言ってしまった。


嫌味を言うつもりは無かったけれど、いつも義実家に来ると「疲れた。」と言ってゴロゴロしているか、スマホを弄っているだけの義妹が癇に障ったのだ。


昼寝から起きて来た義妹のキャミワンピの裾に、爪先で踏んだらしき穴が空いていた。


それを見た義妹が「高かったのに!」と大騒ぎしだした。


高かったと言っても、生地はペラペラの単純な縫製だった。


裾を少し切り、かがり縫いしてしまえば着られる程度の事。


それでも義妹は「妹に縫ってもらわなきゃ!」と裾を気にした。


綻びや破れなんて、人に頼まなくても自分で縫えるだろう。


こんな事一つ出来無い義妹と、私はずっと比較されていたのだ。



4時間ほど滞在して、私より先に主人が「帰る。」と言って、引き上げる事になった。


本当は手があるうちに、義父の遺した法律関係の本や百科事典を、下に降ろしたかったが、服の破れくらいで大騒ぎしている義妹を見ていたら、私は怒りの気持ちを引きずってしまいそうで。


義母は「泊まって行きなさいよ。」と引き止めたけれど、また布団干し要員にされるだけ。


義実家の隣りに新しい家が敷地ギリギリに建ち、台所は昼でも真っ暗になった。


それで流しの上の照明をLEDに換えただけで、義実家を後にした。