ああ、どうしよう!
学歴が無い、免許も無い、若さも美貌も体力も無い!
無い無い尽くしだ!
求人サイトを眺めながら、長過ぎた専業主婦期間を呪った。
社会から取り残されまいと足掻いて来たが、現実はそう甘くはなかったのだ。
学歴と就業歴で、真っ先に私はふるいに掛けられる。
両親は、どうするか。
義母を、どうするか。
これからを、どうやって生きようか。
主人に拘束されながらも、私は生温く生きて来たのだと知る。
事務が出来ますと言っても、どこまで通用するかと言えば、既に子供たちに抜かれているだろう。
「専業主婦は楽で良いわね。」と今まで何度も皮肉られ憮然としていたが、専業主婦には責任が無かった。
「時間は売るほどあるでしょう。」と、お饅頭一つで働かされる日々。
これだって、自分で断れる範疇だ。
そんな時、大切な友人が窮地に立たされているのを知った。
息子(ご主人)が大変だと言うのに、現実を理解出来ない義両親を看て、毒親だった母を若いうちから養っている。
なのに、彼女は少しも凹たれてない。
泣き言も言わず一人で耐え、八方塞がりな今でも前を向いている。
それに比べたら私は、今すぐ食うに困らないのだ。
無い、無いと言いながら、何か試した事はあっただろうか。
以前、離婚を考えた時、ハローワークに行ったのを思い出し、再び登録してみたら、やはり私が思う職業は見付からなかった。
ヒットするのは、母が嫌がるものばかり。
【母が】という言い訳をして、私自身がプライドを捨て切れていなかったのだ。
30年専業主婦だった私に、選べる仕事は無い。
何も無いと言ってばかりでは、前に進めない。
私に、何があるのだろうか。
主人の会社が例え倒産しても、食べる分と維持費を稼いで貰えれば、子供たちが巣立った今は何とでもなる。
呆れられるほど何も無い私だけれど、考えようによっては、これ以上失うものも無いのだ。
そう思ったら、気楽になった。
あれだけ焦がれた社会復帰だ。
ピンチはチャンス。
収入を閉ざされ、抗えなかった主人と対等になれる絶好のチャンスだ。