義実家に泊まる時、私たち四人(主人・娘二人)は二階の一番大きな部屋を使い、末義弟は義父の書斎にしていた部屋で、義弟夫婦は一階のリビングに布団を敷いて寝ていた。


全員が帰省すると、7組の布団を使う。


それぞれが使ったシーツやタオルケットも全部干すとなると一苦労で、膨らんだ布団が押し入れに入らず、私は格闘しながら片付けていた。


それは初めての帰省で、義母から嫁の心構えとして教えられたからだった。


二年後、義弟夫婦が結婚すると何故か義妹には言わなくて、二人の布団も私に片付けさせた。


夏休みの帰省で、関西の実家にも行くと慌ただしく出て行った居間に、明らかに夜の組体操をした後の寝乱れた布団が、そのままになっていた。


これを同じく帰省していただけの私に、義母は片付けさせた。(次女を妊娠中)


まだ、同居している嫁ならばまだしも、私も義妹同様の嫁という名のお客様だ。


長女の時ほどでは無かったが悪阻のある妊娠初期に、真綿の重たい布団を二階に運び、触るのも気持ちが悪く片付けた。


義母は何を恐れているのか、義弟夫婦には今でも何も言えない。


真っ白な平織りのシーツに、義妹が履いていたデニムの色が移り、青く染まって漂白剤を使っても落ちなかった。


義妹は、義母が買っておいたパジャマを着て寝なかったのだ。


他所の家の布団にデニムのまま寝るのは有りか?


性欲が強い義弟がそんな気になったとしても、秘め事を隠さず置き去りにして帰って行った二人に、私は疑問を感じながら始末したのだ。


義父が亡くなった晩、介護ベッドの上で満たされた二人を、私は嫌悪の眼差しで見た。


それが義弟夫婦流の弔い方だとしても、私にはおぞましくて理解不能だったのだ。




義実家で料理を振舞うのは構わないが、それぞれが使った布団は「自分で片付けなさい。」と義母に言って欲しかった。


「布団を干す人が居ない。」


義弟のこの言葉で、私の立ち位置を知った。


義実家で、私は一番学歴が低い。


ピヨピヨ頭の義妹でも、「関西6大学卒の才女」と義母は褒めた。


私の入社後、高卒は取らなくなっても学歴で引け目を感じた事は無かったが、義実家では違ったのだ。


なので悔しい思いをした私は、子供たちをそれ以上の大学に進学させたが、私は何をやっても褒められない。


私には学歴が無い。だから?


義母は「就職前に半年タイピスト学校に行ったから、高卒じゃない。」と胸を張る。


そんなものを習いに行かなくても仕事は出来たし、資格にもならない。


ただそれだけで、家事も介護も私に負わせるのか。


「義妹ちゃんは天然だから、マリモの苦労に気が付かない。」と主人は言うが、どんちゃん騒ぎした後始末を嫁がやると思う事事態が変だ。


義実家の教えは古い。


スマホを持って丁髷を結った、お侍のようだ。