義父は生前、義母を甘やかした。


甘やかしたと云うのか主人が変なのか、義父が何でも決めて義母には何もやらせなかった。


タイピストとして昔働いていたはずの義母は、驚くほど何も出来ない。


おかげで事務処理が貯まると私に聞き、説明がまどろっこしいので全部やって来てしまう。


来年の四月は義父の七回忌だと知り、義母が私を煽って来た。


納骨と三回忌の頃は、くも膜下出血から生還したばかりの義母がまだ覚束無くて、横浜から全て準備して執り行った。


七回忌は命日より早めに挙げるのが良いそうで、四月より三月にしよう。


住職は、お彼岸は忙しいだろうし、供花と水菓子は何処で手配しようか。


場所は斎場か、墓前か。


頼まれると一瞬で頭が回転してしまうのは、長く刷り込まれた長男の嫁のプライドだ。


「お袋に関わるから悪い!電話にも出るな!自業自得だ。」と連休前に主人は怒鳴ったが、サラリーマンの三兄弟は誰一人やらないじゃないか。


義母から話を振られていて、準備が出来ていなかったら、責められるのは私だ。


腹が立つが、水面下で準備を始めた。


「五年前に亡くなった○○○○(義父)の家族の者ですが、来年の三月に七回忌を考えておりまして、、、」



私が義実家に泊まらなくなってから、布団を干したり洗濯をする人が居ないと、義弟夫婦も泊まらなくなった。


別に大の大人だもの、私じゃなくても布団は干せる。


【布団を干したり洗濯をする人が居ない。】とは、私を何だと思っている?


サラリーマンの三兄弟の都合も聞かず、勝手に義父の七回忌の予約を入れた。


何もかも任せ切りにするのなら、私の都合で決めれば良い。


精進落としは何処にしようか。


フランス料理?それとも京懐石?


払うのは義母だ。


供花も水菓子も、私好みにしよう。

手土産は、私のセンスで。


義父の子たちが仕切るべき事を、私に任せ切りな三兄弟が悪い。