息抜きだった週末旅行にも行けないほど、浮腫みが酷くなった。


辛うじて通院には行くけれど、帰りは主人に迎えに来て貰うほど、足は浮腫み頻尿になった。


朝、顔を洗って鏡を見ると、ほうれい線が消え、まん丸顔になっていた。


たぶん義実家からの帰りの電車が、ずっと立ったままだったからだ。


浮腫みの原因が心臓なのか肝臓なのか確定するまでは、何の治療も出来ずにいる。




主人の出勤を見送って5分と経たず、姉から電話が入った。


父がまた血尿になり寝込んでいると言って、私に通院の付き添いに行って欲しいと言うのだ。


私が2度目のコロナに掛かってから、父は私に連絡を控えるようになった。


姉は他の科の付き添いには行ってくれるが、泌尿器科の付き添いだけは酷く嫌がる。


私が子宮腺筋症で子宮と卵巣を全摘したあと、デリケートゾーンのトラブルが続いた。


医者に症状を伝える為なら【陰核】【膣】といった性器を表す単語も用いるし、父の泌尿器科でも性器について話す。



泌尿器科の付き添いは父の状態を説明しなければならず、姉は性器を言葉にするのが恥ずかしいと言った。


厨二病全開の10代じゃあるまいし、医学的に必要ならば恥ずかしいなんて言っていられない。


前回は膀胱炎が精巣上体にまで入り、血尿と激痛を起こしたので、今回も膀胱炎を拗らせたのだろう。


尿管結石ならば七転八倒の激痛に苦しむが、寝込んでいるだけなら抗生物質を処方して貰えば治るはずだ。


「往復のタクシー代を私に請求してくれて構わないから、泌尿器科だけは頼む!」


「私が元気なら行くよ。これで無理して歩けないなんて言ったら、次が無くなるから今日は無理だよ。」


「足が浮腫んで顔がまん丸なんて、私はいつもだよ。」


姉は80kg越えのスーパーマシュマロボディ。


私の足や顔とは、全く別ものだ。



埒のあかない言い合いを繰り返しても、父を診せなくてはならないのは変わりなくて、往復のタクシー代を払って貰う条件で私が行った。


私だって父のレントゲンに映る【父】を見たくない。


だけど嫌だと言える方の勝ち。


私は痛がる父を思うと、嫌だと言えなかった。