世の中はクリスマス一色で煌びやかだった、あの日。
私は造影CTの検査結果を聞きに行っていた。
本当ならば義実家の住宅改修に立ち会う予定だったが、義母のケアマネさんにお任せして私は病院に向かった。
検査を重ねると言われる時は、何かがある時と経験上知っている。
主治医も私が自分なりに調べてくる患者だと分かって、画面を表示しながら医学用語を並べ立てて説明して来た。
【肝早期濃染域】
簡単に言えば、造影剤を入れてCTを撮ると、がん細胞が浮かび上がるという物。
画面越しに自分の肝臓をカメラで写した。
ぼんやりと丸い物が3つ。
「今は内視鏡で手術出来ますし、肝臓は2/3切っても再生しますし、抗がん剤も直に打てますからね。」
私が会って来た中で、ダントツ1位のイケメン医師が作り笑顔で明るく話す。
「ああ、大丈夫ですよ。乳がんもやってますし、ある程度の覚悟はして来てますから。」
「それとうちの病院には、これを手術出来る設備がありません。お好きな所に紹介状を書きますが、ご希望はありますか?」
「あ、じゃあ、脳も心臓も診て貰っているS病院でお願いします。」
私が肋骨の下の塊に気が付いても、「気の所為。」と取り合ってくれなかったS病院の主治医かあ。
でも私の全部のデーターを持っている以上、あそこで治療を受けよう。
閉院時間を遠に過ぎた会計を終え、ボロボロに疲れ切りながら家に向かう。
肝細胞がんの生存率の悪さは、身内に二人命を落としたので、調べなくても知っている。
肝臓を2/3切っても再生するが、それだけガンの再発率も高い。
私がいつの間にか肝臓を壊した原因は、27年前に感染したEBウイルスが自己免疫疾患となり、良い細胞も攻撃してしまうからだと予測された。