昨年の11月1日。

丸4年続けた介護ブログを卒業したはずだった。


そこからの毎日は、穏やかな生活と闘病に専念させてくれると思っていた。


悪性リンパ腫は完全なシロにはならなかったけれど、経過観察で済む程度の有難い結果だったのだ。


ただ昔罹った慢性活動性EBウイルス感染症(EBウイルス)が悪さをし、蚊に刺された所が樹状細胞がんや悪性リンパ腫になってしまう可能性が高いと診断が下った。


ならば蚊に刺されなきゃ良い。


義母、両親から離れ、心はとても軽やかだった。



そんな穏やかな日々は、一瞬の晴れ間の様に私を現実に引き戻して行った。



少し前から母の認知症が酷くなった気がしていた。


それが11月に入ってから急激に認知症が進み、お金の扱いや薬の飲み忘れが出来なくなって行った。


週2で通っているデイサービスのリーダーさんから、送迎の電話を入れても出ないと連絡が毎回入るようになった。


補聴器を何処に置いたのかも忘れてしまい、探しているうちに通所時間である事も忘れてしまう。


ガラケーの充電切れにも気が付かない。


補聴器を無くしてしまうと、インターホンも電話も母には聞き取れず、母の為に送迎バスに遅れを起こしてしまう。


外に働きに出ている姉では役に立たず、デイの日は母は帰るまで電話が私に入る。


「今日、咲子さん(母)が100万円もお金を持って来てしまって。大金を持って来ない様に言って下さい。」


「今日も咲子さんが大金を持って来てしまって、お耳が遠いからお友達と内緒話のつもりなんでしょうけど、全員に聞かれてしまって。何かあったら困るので、止めさせて下さい。」


リーダーさんの口ぶりはニコやかだけれど、厄介な利用者だと言う空気がひしひしと伝わって来る。


昔から母は、何を心配しているのか何かがあった時に困るからと、100万円以上を持ち歩いていた。


母は初めてのデイの日に、お風呂に付き添ってくれたスタッフさんを引っ掻いてしまい、当初から心象が悪い利用者だった。


補聴器の置き場所、通所バッグに入れる小銭入れ、モグラ叩きのように対応して行っても、母の認知症には追い付け無い。


スマホにデイサービスが表示される度、ため息と胸がつかえる感覚が起きるようになった。