岩沼市議会の、私が所属している総務常任委員会(高梨明美委員長)は1日、岩沼市社会福祉協議会あいプラザ会議室で、岩沼市の市民団体「いわぬま女性防災リーダーの会」と議会懇談会を開き、植田美枝子副委員長の司会進行の下、市の政策などについて意見交換を行いました。防災に関することのほか、このごろ増えてきている「空き家」対策などで「注文」が出されました。
議会懇談会の開催は、岩沼市議会基本条例の「市民参加及び市民との連携」の項の中の第12条に「開催するものとする」と定めてあり、その条例改正から10年になるのですが、開かれたことがありませんでした。今年1月に議長に就任した酒井信幸氏がこの条項に着目し、新機軸として3つある常任委員会に「年度内に1回は実行するよう」要請したのでした。
条文には「議会は議会活動に関する説明責任を果たすとともに、議会運営及び市の政策等について市民との意見交換を行うために開催する」と書かれてあります。
市議会基本条例は、新人議員だった私と私の会派の計4人が中心になって、議会運営委員会を動かし、平成22年の2月定例会で可決し、4月からの施行にこぎつけました。ここまで20数回の会議を経ての制定でした。宮城県内では5番目、市議会としては県内第1号。東北では16番目でした。基本条例は、「議会なんか要らない」という議会不要論に対して議会自らが襟を正し、「市民に開かれた議会を実現しよう」という議会改革運動でした。
条例の制定に先立って、とりあえず議会が主催する「議会報告会」が半年前にスタートしたのは良かったのですが、平成25年(2013年)10月の7回目で廃止されて、条例自体も改悪されました(同年12月)。ここで議会報告会の廃止に代わって新たにうたわれたのが「議会懇談会」でした。
しかし、うたわれただけ、となったのでした。このときの議長は故・高橋孝内氏、その後は国井宗和氏が就任して、平成28年からの森繁男議長、令和2年からの飯塚悦男議長、4年からの佐藤淳一議長(現・岩沼市長)や桜井隆議長は議会改革に興味はないタイプ。いわば「非・市民派」です。「議会を市民に開かれた存在にしようという」発想が全くなかったので、議会としては「開催義務がある」ともいえる議会懇談会は開かれませんでした。
議会が主催する議会報告会はなくなるわ、それに代わるとされた議会懇談会が行われるわけでもないわ…で、この10年は「失われた10年」になりました。私は、岩沼市議会の不当な懲罰に対する裁判にエネルギーを費やさざるを得なくなり、議会改革にはまともに取り組めずに停滞する一方、令和元年12月の市議選で落選したり、議会改革どころではなくなってしまいました。
さて、この日の議会懇談会のほかにも、すでに開いた常任委員会もあります。市議会は偉そうに、お高くとまっているのではなくて、市民・住民のところに降りていくのはこの時代、当然のことです。岩沼市議会の、議会改革の再スタートになればいいなと思います。お隣の柴田町議会に基本条例が制定されたのは岩沼の1年後ですが、今や、全国の議会・議員の研修会で「議会改革に取り組む先進事例として発表するまでに至って」います。岩沼市議会は失われた10年を経て、完全に先を越されました。
10日ほど前の10月21、22の両日、滋賀県の琵琶湖にほど近い全国市町村国際文化研修所(大津市唐崎二丁目)で開かれた、全国の市町村議員を対象にした「議会改革を考える~先進事例に学ぶ住民参加・情報公開」が、その場でした。住民参加と情報公開に議会が、議員が、どんだけ努力しているかという働きぶりが、議長のトツトツとした語りを通じて伺えました。