自民党の新しい総裁となった石破茂氏は、10月1日に召集された臨時国会で首相指名を受けたのに続いて、「石破内閣」を組閣しました。その石破総理大臣を除くほかの閣僚は19人ですが、初入閣組が半分を超える13人もいて、総裁選での論功行賞が際立っているなどと論評されています。また、閣僚の序列としては上にある総務大臣に村上誠一郎氏を起用したことに異論もあるようです。

 

村上総務相は、自民党国会議員の中の数少ない良識人だと私は思っていますし、ファンでした。2022年9月、その2カ月前に銃撃事件で死亡した安倍晋三元首相について「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」と発言したとされ、自民党から「1年間の党の役職停止」とする処分を受けました。

 

党にいれば、身内の過激な発言として、「処分」は仕方ないのかもしれませんが、私は当時、「その通りだ。国賊だ。痛快な発言だ」と思ったものでした。いえ、その以前から「安倍政治」には否定的でした。

 

7年8カ月にも及んだ安倍長期政権。憲法改正の進め方も乱暴でした。野党の反発を受けて、頓挫してしまった状態です。森友学園、加計学園、桜を見る会などの不祥事もありました。政経パーティーに端を発する裏金を生み出して相当の巨額になったのが「安倍氏の派閥」だったし、最近、朝日新聞がスクープした、2013年参院選前の「安倍氏と旧統一教会会長との面談」も「国賊もの」でしょう。

 

また、今年6月には関連文書を不開示とした国の決定を取り消すよう求めた訴訟の判決で大阪地裁は、当時東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年延長を2020年に安倍内閣が閣議決定したのは「黒川氏のためと考えざるを得ない」などと指摘したのでした。

 

このように、今になって明らかになった安倍元首相の「政治」も含めて、「安倍氏は国賊だったと思わざるを得ないのです。「安倍政治」が評価できなくなる事例が次々明らかになってきています。

 

党内野党と呼ばれもした石破氏でしたが、それよりも過激に見えた村上誠一郎は、いまや。閣内の「石破のための用心棒」なのかもしれませんね。

 

石破内閣はきょう1日に発足したばかりですが、自民党総裁選では小泉進次郎氏が唱えていた早期解散に、慎重な姿勢を見せていた石破氏が首相に就くや否や、最も早い日取りで解散・総選挙を実施すると表明し、豹変ぶりを見せました。解散の根拠については、石破氏がかつて党内野党として批判していた「憲法7条解散」を是認する説明もしました。

 

7条解散とは、首相にとって都合のいいときに、天皇の国事行為として行う解散のことです。野党からは「自民党を変えると言っていたのは石破氏だが、何もしないうち自分が変わってしまった」との冷やかしも出たみたいです。これも的を射た批判ですよね。