岩沼市議会の9月定例会が閉会して2日目の27日は、仙台市青葉区の宮城県庁で南三陸町議会の及川幸子(ゆきこ)議員から、懲罰をめぐる相談を受けました。数日前に電話があって、「まずは、とりあえず、どんな事例なのですか、話を聞かせてください」となって、この日の、初めての対面となったのでした。

 

懲罰は4つある中で一番軽い「戒告」で、町議会9月定例会最終日の今月13日に賛成多数で可決されました。懲罰は南三陸町議会史上初の出来事といい、翌14日付の河北新報にもベタ記事で載っていました。6日付で出された懲罰動議は、週明けの9日に上程され、懲罰委員会が設置されて審査が続き、13日の本会議で議決される運びとなっていました。

 

懲罰動議によると、及川議員は5日の一般質問をする際「通告した質問内容と無関係な内容を冒頭から発言し、議長が制止したにもかかわらず、発言を続けた。また、質問通告が(3件のうち)1件しか受理されなかった経緯に(ついて)自分の非を述べることなく、あたかも議長が単に受け付けなかったという趣旨の発言であり、(これらは)議会の品位を軽んじるものである」などと断じられました。

 

ここで注意しないといけないのは、懲罰動議とは懲罰を科したい議員が提出するもので、客観的な表現を装っているケースが多いのですが、実は主観的に書かれ、事実調べなどは省略されて多数決という「政治」で決められるのが普通です。必ず設置せねばならない懲罰委員会での審査が必須です。しかし、ここでも多数決で決められますから、「政治」が入り込んできます。

 

懲罰としての戒告とは、本会議場で議席に座っている「その議員」を立たせて、議長が「戒めの言葉」を宣告することです。及川町議からは、懲罰に至る経過などについて詳しく聞かせてもらいましたが、戒告処分は不当であり、その原因となった及川議員の一般質問を禁じた議長の措置も合理的ではない、などと私には思えました。

 

及川町議によると、事前通告で許可されなかった一般質問は3つの大項目のうち「水産業の課題克服に向けての取り組み」と、「戦後79年の平和について」の2つ。許されたのは「子どものSOSについて」だけでした。で、及川町議はそのこと(事実関係だけ)を、一般質問を始める際の前口上として、あいさつがわりに? あっさりと述べ、許された3つ目の質問を始めたのでした。この前口上について議長から「発言の取り消し」を要求され、これを拒否すると、翌日の日付で懲罰動議が提案されたのでした。

 

南三陸町の基幹産業である水産業のことを聞く一般質問がなぜダメなのか、戦後79年の平和についても、首長の政治姿勢を問う範疇の質問などとされ、どこの議会でも許されている一般質問なのです。つまり、こういう一般質問を受け付けない議長の姿勢こそが問題です。事後に議長あての文書で説明を求めましたが、文書は返されて今なお返答(説明)はない、といいます

 

不当な懲罰が行われる議会は、岩沼市もそうでしたが、議会事務局が事実上の議長事務局となっていて、議長に迎合した「事務局判断」が繰り返され、懲罰動議の文言などの吟味が甘くなります。議会事務局の法令審査的な業務はどうなっているのかと迫ると、「政治の分野に事務局職員は入って行けないのです」と逃げの姿勢を見せるのです。

 

また、議長と首長がつるんでいるところでも発生します。南三陸町のその関係はどうなっているのでしょうか。気になります。

 

恐らく次に発行される「みなみさんりく議会だより」(全戸配布)にこの懲罰が大々的に掲載されると思われます。議決(可決)したことでオーソライズされるので、紙面化する理由が生ずるのです。普通の町民は懲罰と聞けば(及川議員が)何か悪いことをしたに違いない、と思います。これが懲罰を科す側(議会多数派)の狙いであり目的です。町議会による「いじめ」の実践です。

 

今日は、これぐらいにして、ここで終わります。なお、及川町議は町役場を退職した後、町議となって3期目。73歳。ただ一人の女性議員です。何かにつけ、ひとこと言わずにはいられないタイプなので、たたかれるんですよねと、笑います。男性町議の中では「女は黙って、家にいろ」という昭和の化石みたいなタイプが多い、といいます。