岩沼市議会の6月定例会で行われた一般質問の最後が私でした。一般質問の第3日でしたが、12番目の登場は6月26日の水曜日の午後となりました。次の日は、定例会の最終日です。一般質問の最後ですから「有終の美」を飾りたかったのですが、時間切れのため、最後の問いが無効となる「尻切れ」に終わってしまいました。時間が足りなくなってしまったのでした。

 

40分間の持ち時間の残り表示が「1分」という中で、あと50秒ぐらいは残っているだろうなと思ったのですが、実際は10秒ぐらいしかなく、質問しているうちにタイムアップ(時間切れ)となり、そのまま終わってしまいました。質問の途中でしたが、酒井信幸議長から「大友議員の一般質問は終了しました」と宣告されました。

 

事前に通告した質問は、大きなタイトルは「市民会館の駐車場、有料化3カ月」でした。その下に、1の⑴⑵⑶⑷⑸、2の⑴⑵⑶⑷、3の⑴⑵、4などと大枝、中枝、小枝などがあったのですが、3に来たところで「あと5分」を切っていました。

 

3は、市職員の駐車場(市有地)の有料化についてでした。ここまでも結構、駆け足でしたが、さらに急がねばならなくなり、4の最初「市民会館の駐車場有料化に続いて、体育施設など公共施設の使用料値上げプランを先送りすると決めたのはなぜか、と聞いたところで、残時間表示「1分」となってしまったのでした。

    

4の質問は、問い掛けとしては優しいのですが、「1年先送りとかではなく、中止したらどうですか」という提言にするつもりでした。先送りという岩沼市の重大な決定を私たち議員が知ったのは、6月15日付の新聞です。前日14日の議会運営委員会で触れられることもなく、その日の記者会見で市長が語るのですから「議会軽視」もいいところです。

 

でも、与党系の議員にはその情報は流れています。私だって、5月の段階で「市の幹部からの情報によると、どうやら先送りとなるらしい」という話は間接的に聞いていました。しかし、公式発表はありません。先送りはあり得るんだな、と私は受け止めたものでした。

 

そもそも、この体育館などの施設の利用料である「使用料の値上げ」は、今年3月にまとめられたものですが、そのときから「前提が間違っている」と思えたので、「先送りどころか中止するべきである」というのが私の考えでした。

 

使用料と似たようなものに、分担金・負担金とか手数料というものがあります。市町村など地方自治体にとって税外収入の一つです。分担金は地方自治法223条で「特に利益を受けるものから徴収することができる」などと規定されています。手数料は227条で「特定の者のためにするものにつき」とされています。つまり、「特に利益を受ける」「特定の者」がキーワードです。分担金と手数料は、受益者負担そのものです。

 

つまり、下水道事業などで利益を受ける特定の人は、分担金として建設費も徴収されたりします。印鑑証明とか住民票とかそれを必要とするときは、その特定の人が手数料を払わねば(負担せねば)なりません。使用料はそれと違って、225条でもって徴収が可能ですが、特定の人から徴収するのではありません。水道料金とか市民会館中ホールとか会議室の利用料金とか、いわば特定の人ではない全市民が対象で、利用した人その当人に払ってもらうという考え方です。前提が違います。

 

今年3月に策定された「公共施設使用料の見直しに関する基本指針」は、目次の次の1ページ目の「はじめに」の3行目に、「特定の人が利益を受ける場合には」と限定して、分担金と手数料の論理をあてがい、以下に続く文章27行が使用料の説明としてはいかさまなものになっています。分担金と手数料に関する「受益者負担論」の説明にすぎません。

               

 

                    

また、6行目には「施設を利用する方としない方の双方の均衡」という表現も出てきますが、使用料の場合は対象は全市民であり、特定の市民ではないし、何回も利用する人はだからといって法律上の「特定の人」にはなりません。よく利用する人を国語としては「特定の人」と呼ぶこともあるかもしれませんが、行政用語・法律用語としてはそうはいきません。

 

そういう混同もあるし、だから、使用料の値上げを先送りするんだったら、いっそのこと値上げは中止するか、「はじめに」を書き直して「基本指針」を改訂してはどうかなどと、一般質問の最後に提案するつもりでいたのですが、時間切れのために情けなくて、締まりのない終わり方になってしまいました。

 

一般質問の録画中継は岩沼市議会のホームページで、3日か4日にも始まるかもしれませんが、私も見てさらに反省せねばなりません。

 

6月15日付の新聞記事によると、来年4月実施を決めていた体育施設などの使用料12件の値上げが先送りと決まったとのことですが、今年3月に決めていたものの5月にはグラついて、6月になると先送りが決まったヨロヨロの「基本指針」は政策とは呼べませんね。単なる思いつきみたいなものです。

 

なるほど、最後のページには<策定経緯>として、令和5年10月から3カ月の期間で、打ち合わせ4回と庁議(幹部会議)5回で整えたという記録が載っています。こんな短期間で、学識者など外部の声も入れず、簡単に作るのだから、簡単に壊れるのも道理なのでしょうか。「はじめに」は、どれだけ議論して、どれだけ練って成案になったのでしょうか。お粗末だと思います。