岩沼市民会館の駐車場有料化に関連する市の予算に反対した議員は、議長を除く15人のうち3人だけでした。今年の2月定例会のことですが、私と共産党の渡辺ふさ子議員、維新の西塚秀市議員の3人です。市民の怒りが渦巻いているのに、市民の側に立つはずの議会がその存在感を示せませんでした。議会のチェック機能がいま、低迷しています。

 

その訳(わけ)は簡単です。2年前の市長選で佐藤淳一市長を誕生させた議員らが議会多数派を形成し、昨年12月の市議選で今度は市長が選挙カーに乗ったり、街頭演説に立ったりして応援するなど、市長選の「御礼」を果たしたという経緯があるからです。個人的には麗しい関係かもしれませんが、行政と議会の癒着はいけません。こういうことが地方の政治を壊しています。議会のチェック機能が損ねられるのは、市民の不幸そのものです。

 

地方の行政と議会の関係は、国の制度と違って「二元代表制」と呼ばれています。国の制度では行政のトップである内閣総理大臣は、議員(国会議員)の中から選ばれます。議院内閣制と呼ばれますが、総理を選んだ瞬間に選んだ議員らには、その責任として「与党」を形成します。一方、市長は市民が直接選びますし、市議選も別にあります。市議の中から市長を選ぶのではありません。だから、二元代表制と呼ばれますし、与党も野党もありません。どちらかといえば議会全体が野党的な立場から「市政をチェックする」のが制度本来の姿です。

 

昨年12月の市議選は投票日がクリスマスイブの日で、選挙運動の最終日が23日でした。この日、市長は選挙応援に力を注ぎました。市長たるものは、議会で予算や条例を可決してもらわないと、何もできません。議会の協力は、市政の執行に必須ではあります。しかし、あまりに直接的な応援は異例でした。元市長の井口経明氏や、その前の小野光彦氏もそこまではやらなかったな、などと関係者の間では話題に上りました。

 

市長の応援を得て当選した議員は、市長に対するチェック機能を果たせなくなるのが自然の理(ことわり)でしょう。市長による議員選挙での議員への応援は、二元代表制を否定するもので、地方の政治家自身が地方の政治制度を否定していることになります。

 

さて、市民会館の駐車場有料化をめぐる、昨日の話の続きとなりますが、15日付の朝日新聞県内版では「有料化したところ、市職員(の駐車場も有料化して)も負担すべきとの声が市民から出ていた」と、背景について書かれてありました。河北新報には「(施設使用料の減免の廃止には)団体から厳しいとの声が出ていた」との記述もありました。

 

そういう声を受けて、あるいは、イマジネーションを働かせて、議員がそういう物言いができなかったのか。新聞社からの、議会に対する問い掛けのように読み取れました。「議員も仕事しろよ。市民の声を聞けよ」といわれているような気がしました。