岩沼市議会が8年前に私に科した出席停止という懲罰が違法だったという判決が仙台地裁の差し戻し審で下され、確定したのは昨年3月のことでした。議員報酬をカットしたことに対する約7年7カ月分の「遅延損害金」9万1038円を、岩沼市が私に支払ったのは昨年の4月7日でした。令和5年の雑所得となるので、ほかと合わせて今年の3月1日に確定申告を済ませました。議会事務局のアドバイスがありました。

 

自民党は派閥の裏金問題で4日、安倍派と二階派の計39人の処分を正式に決定しました。どんなふうにして裏金問題が発生し、裏金はどのように使われたのかなどについては捜査でも、国会の政治倫理審査会でも全く明らかにされていないのに「処分とはこれ如何(いか)に」というのが、第一の感想ですが、裏金は国会議員の雑所得なのですから、使い道はともかく「確定申告しなさいよ」ではないですか。

 

2月16日からの1カ月間の確定申告の時期には、裏金議員も「それ」を含めた「確定申告をせよ」との声もテレビのニュースなどでも出ていましたが、その声は今は霧消してしまいました。東京地検特捜部などが裏金事件の捜査に乗り出してからおよそ半年。立件されたのは安倍派の国会議員3人のほかは秘書や派閥の事務員ら7人のみです。ほかの国会議員らの嫌疑を問うことはできなかったのですが、そしたら、自民党の処分という流れになったのでした。

 

しかし、なんで確定申告・修正申告の話に進まないのかが不思議ではあります。マスコミの「追い詰め方」が弱いか、あえて外しているのか分かりませんが、7日夜のテレビ・BS朝日に出ていた行政学・政治史が専門の牧原出東大教授もチラッと雑所得に触れていました。

 

なにか、どこか、しっくりしない、自民党の、今回の処分です。39人が…、とはいえ、うち17人は軽すぎる「戒告」。処分されるのは、裏金が500万円を超えるなどの議員で、500万円に到達しない裏金議員43人は処分されないというのですから驚きです。

 

まあ、それも、偉いさんだから仕方ないとしても、雑所得の確定申告はしてくださいよ、させてくださいよという庶民の声は自民党の裏金議員には届けてもらえないのでしょうか。2000万円を超える雑所得になんて、どれだけの税金がかかるんでしょうかね。とにもかくにも、所得があったら国会議員なんですもの、税金は納めて下さいよ。意味のない党の処分より、国家に税収が入る確定申告をすることの意義は大きいのではないですか。

 

ところで、冒頭の段落に書いた「遅延損害金」9万1038円とは、判決主文の2つ目に出てくる「被告(岩沼市=岩沼市議会)は原告(大友健)に対し27万8300円及びこれに対する平成28年9月22日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え」から算出されるものです。

 

つまり、出席停止(23日間)に伴ってカットされた議員報酬27万8300円が支払われなかった9月21日の翌日から、約7年7カ月遅れて私に支給された日までの利息が、年5分の割合だと9万1038円に達する…ということです。一方、27万8300円も同じ日に支払われましたが、これは28年分の所得であり、修正申告をせねばならない平成29年の申告期限から5年以上経過しているため、所得税の納付が不要となったので(いわゆる時効)今回の確定申告の対象からは外れていました。

 

ちなみに、判決主文の1つ目は「出席停止23日間の懲罰処分を取り消す」でした。3つ目は「訴訟費用は被告の負担とする」でした。判決はこのように完全勝訴だったのです。

 

それにしてもさ、私ら庶民はというか一介の地方議員は、9万円程度の雑所得でも確定申告するのだから、裏金国会議員も自民党の処分はどうあれ、雑所得に課される税金は納めてよね。わが宮城3区の西村明宏議員も安倍派であって、裏金は554万円だったと発表されていて、今回は「戒告」の処分を受けました。

 

発表の後の西村氏の釈明は「そのお金には手をつけず、そのままにしてある」などととても信じられない内容でした。今度は、潔くて、分かりやすくて、なるほどと思える、すっきりした説明を聞きたいものです。

 

でないと、有権者はいよいよ離れていきます。野党があまりにも情けないから、自民党が救われていますが、いまの裏金問題は、政治を任せるに足る政権政党・自民党の最大の危機だと思います。3年前、無能な総裁を選んでしまったことに端を発しているのです。民主党に政権を取られた2009年のときよりも、自民党の劣化が進んでいると思います。内部が、というか、組織が壊れていると思います。