岩沼市議会の私に対する懲罰「出席停止」をめぐって提訴した裁判は
今、菊地啓夫市長が上告したことによって最高裁で争われていて、しか
し、中身としては裁判として受け付けるかどうかという「入り口」段階
で激しい攻防が戦われていて、「最高裁まで来た」のであります。
一審の仙台地裁は「受け付けないという判例があるのだから」却下と機械
的に判断しました。門前払いです。それを不服だとして私が控訴した二
審の仙台高裁は「判例はそうだけど大友健のケースは裁判として受理す
るべきだ」と、いわば判例に「例外」を作った判決。私の逆転勝訴でした。
地裁に差し戻されて裁判が始まったら「市議会の悪事」がバレるよ、さあ
大変だと懲罰攻勢の多数派とそれに付和雷同する自己保身の議員たち
は、市長にとりあえず「上告しろ」と議決しました。議会多数派と安寧な関
係を維持したい市長は、懲罰のやり方とその内容に違法性が濃厚で、不
正義・不条理極まりない措置だったにもかかわらず、この議決に従いま
した。2年前の9月議会での出来事です。
最高裁15人の判事のうち5人で構成する小法廷は、仙台高裁の逆転判
決に憲法違反に当たるようなものはないとして、市長の上告を今年3月
に棄却。要するに仙台高裁の通りでいいとの判断を示す一方、15人全
員で判断する大法廷を開くことにしました(大法廷回付の措置)。
上告すれば何でも受理されるわけではありません。その前段の高等裁
判所の判決に「憲法違反があるか」「判例違反があるか」のいずれかで
ないと、最高裁は受け付けないのです。
大法廷に回付するということは、判例変更をするという意味合いがあり
ます。「出席停止の懲罰は裁判として受け付けない」とした昭和35年の
判例が変わりそうなのであります。
私の提訴では、請求の趣旨は①平成28年9月6日に市議会が議決した
懲罰「出席停止23日間の処分」を取り消すこと②議員報酬カット分27
万8300円を返還せよ…という2つです。請求の原因として、概要には
①議会内での言論活動の自由を回復すること②言論封殺の目的で懲罰
が繰り返されている…ということを訴えています。
裁判に至った事実経過としては、まず、その年の6月議会で当時の植田
美枝子議員に対する「陳謝という懲罰」があったことを挙げています。ひ
どすぎる懲罰でした。事実の捏造(ねつぞう)です。それには、関係議員
同士による口裏合わせが行われました。植田議員が所属していた委員
会は付託されていない「植田議員を査問する」場となりました。
口裏合わせとは違う「事実と経過を」全て知っているその委員会の委員
長・布田恵美議員が何も語らなくなりました。語れば捏造は成立しなかっ
たのです。が、恵美議員は捏造を是認しました。この不作為でで「植田
議員懲罰」が一丁上がりとなったのです。
こういうのがシレーッとして通用していいわけはない。裁判では証拠とし
て、植田・布田のメッセージのやり取りの記録である「スマホの画像の写
真」も提出しています。
こんなことまでするの? 捏造は、いくら何でも許せない、しかも、議員
という立場の人間がやっていいのか…というのが、自分のことはさるこ
とながら、私が提訴に及んだ大きな理由の一つです。
その「陳謝の懲罰」について、私が「政治的に妥協したのだ」と同じ会
派の責任者として論評した言葉が、私の懲罰の対象となったのです。懲
罰委員会では、懲罰動議の説明もないし、事実関係の認定もなし、質疑
もなし、などと「乱暴極まりない、私を小バカにした」審査の進め方でした。
訴状ではさらに、事実経過として懲罰処分の違法性も訴えています。処
分の濫用であり、裁量権も濫用、言論活動を侵害しているとも指摘。関
連法規等として、地方自治法132条にある「無礼の言葉」のどこに、市
議会会議規則142条にある「品位を重んじなければならない」のどこに
該当するのか、などの問題点を違法ではないかと指摘。懲罰の事由に
該当しない違法な懲罰であるとしています。
さらに、本件懲罰は取り消されるべきであるとして①憲法21条1項に
反する②社会観念上著しく妥当性を欠く③懲罰の目的から逸脱しており
動機が言論封殺だから違法である④同じ行為で処分されない議員がお
り平等原則に違反する⑤懲罰委の手続きに瑕疵がある⑥懲罰を科す
理由となる事実に誤認がある―といった理由をあげています。
また、出席停止ではあるものの司法審査に対象となること、対象とすべき
ことについては①本件は昭和35年判決の事案と異なる。議員報酬減額と
いう違いがあり、訴えの利益がある②報酬の減額は一般市民の法秩序に
関わる③多額の報酬減額の裁量判断の適否は司法審査に服すべきだ
④言論に関する侵害は議会の存在意義を損ねる⑤無条件で裁判の対象と
なる除名処分(クビ切り)と出席停止の境界はあいまいで、その実質に
差異はない⑥裁判の対象としない「部分社会の法理の適用」は不当な懲
罰の放置と議会の腐敗を招きかねない―と主張しています。
以上が訴状の骨組みですが、25日の最高裁大法廷で私にとって嬉しい
判決言い渡しが出て、仙台高裁の判断通りでいいとの内容になって、仙
台地裁に差し戻されれば、つまり、裁判として受理さえしてもらえれば
「勝ったようなもの」だと思っています。
なぜなら、私への懲罰は訴状に記した通り、それだけ杜撰(ずさん)で、
いい加減だったのですから。懲罰を科すのに慣れてしまった、常識も良
識もない議員が簡単に数の暴力、過半数の暴力を駆使するのです。分
かりやすくいえば、「いじめ」です。
岩沼市議会は、数で徒党を組む「チンピラ議会」でした。チンピラはヤク
ザと違って数だけが頼りです。一人だとおとなしくしています。チンピラ議
員が跋扈(ばっこ)する岩沼市議会はまた、市民の役に立たない死んだ
ような議会でした。市長のためにある「死議会」でした。
チンピラ議会は今、「何だこれは?」と、最高裁の15裁判官の目に触れ
るところに上っていったのです。せっかくですから、よお~ぉ~く、見ても
らいましょう、ね。