楽曲

 

【曲名】愛は何度でも

【歌唱】黑木 akawoni てぃら 初音ミク

【作者】M.A.K.E.vortex

 

 

 

 

 

 

目次

 

  1. 歌詞
  2. 解釈
    • ”愛は何度でも”傷つける___
    • 思い出とは思いがけずに出逢うもの___
    • 過去への固執___
    • 思い出が遠ざかる___
    • 思い出から目を背ける本当の理由___
    • 「変化」への恐怖___
    • 私が愛するもの___
    • 思い出とは思いがけずに出逢うもの___
    • 現在への愛___
    • ”愛は何度でも”変わってく___
  3. 視聴

 

 

 

 

 

歌詞

 

は何度でも傷つける
見えた言葉が

すべてじゃない
変わったこと

悔いてはないよ
にぬれずに済むかぎりは

『げんき?あいたい』
君にすら 限界気取って
あいされたい


思い出なんて

思いがけずに出逢うから
視線落とす場所まで決めていたのに

焦ったふうに来るのを感じて

見つめてしまうのよ

きみを何度でも傷つけた
言葉のつまりが覚えてる
泡に溶けてくずれてしまいそうだ
伝えることも数えて来たのに
話せば不思議と吹きかえす
他人のようで少しうぶだから
知らない筈の

子供の頃の笑顔が見えた気がしたよ

生きている感触などないもの
は手を握っていて

本当に見ていたいもの それは決して

目には見えないもの
会いたいのはあなたであっても

あなたではないもの
大人になって変わったものと

変わらなかったもの

どんなとも 違うと思っていたんだ

ぼくらのうた
真っ白 きれいな想い出 積もっていった、

どれだどれだ?

目の前の今

素直な優しさ

好きになりたいよ

この

街の記憶がぜんぶ

白く欠けてるのは

が降ったあの日に

ぜんぶの時間が止まったから
出逢った場所をもしも思い出せたのなら

景色に紛れたままの私を迎えにきてほしい

好きな人も店もなくなった
わらい声の抜け殻みたいだ
祈る曲がり角
すれ違えたら

もうなんにもいらないよ
もうなんにもいらないよ

青春は一度きり

傷つくなぁ...
だけど若さは呪いじゃない
無垢なのかけらをひろって

集めることをと信じてた

は何度でも変わってく
何を忘れ何を守るのか
どれほど歳をとっても

らしい答えが知りたいな


言葉も気持ちも時間さえも

さわれない、夢とおなじだから
目の前の今をたしかめた
過ぎてく気持ちを抱きしめた

 

 

 

 

 

 

解釈

 

”愛は何度でも”傷つける___

 

とは、私を何度でも傷つける存在。

に濡れずに済む限りは、私自身が変わってしまったことに後悔はない。

つまり、雨が降ってしまうと、自身の変化に後ろめたさを感じてしまう。

後の歌詞に「雪」が出てきますが、「雨」や「雪」は、私にとって「変化」を表すものなのではないかと推測しています(細かい考察は後述)。

 

 

思い出とは思いがけずに出逢うもの___

 

『元気?会いたい』は、君から送られてきたメッセージ。これをに、私は君と久しぶりに再会することになります。

思い出」とは、「思いがけずに出逢うもの」。

私にとって、思い出とは、過去の記憶とは、意識的に思い出すものではないのです。「過去を無かったことにしたい」や「昔のことなんてもう忘れてしまいたい」という思いがあるのかもしれません。

視線を落とす場所を決めていた、つまり過去からは目を背けると決めていたにも関わらず、君からのメッセージをきっかけに、後ろめたかった記憶を、という存在を、目の当たりにすることになります。

 

 

過去への固執___

 

私には、君を何度も傷つけた過去がありました。メッセージをに君を思い出した時に目を背けたくなったのは、過去の記憶を思い出したくなかったのは、「過去に君を傷つけてしまった」ことへの後悔でしょう。

伝えることも数えて来たのに、君と再会した時に話す内容を予め考えて来たのに、その準備が水の泡(無駄)になってしまいそうで、いざ久しぶりにを目の前にすると、緊張や後悔で頭が支配され、理想の会話もままならなくなってしまいます。

久しぶりに会った君は、まるで別人のようで昔の頃の面影を感じなかったものの、会話中に垣間見える、子供の様に無邪気に笑う姿だけは、過去の「あの頃」の君の姿と重なるのでした。

 

 

思い出が遠ざかる___

 

生きている心地がしないの私。昔の私はもっと楽しく暮らしていたのに、大人になることで現実や社会に対応しなくてはいけなくなり、理想の「あの頃」が変化して遠ざかっていくことが嫌なのでしょう。君と会うのが久しぶりになってしまったことも、私にとっては受け入れがたい事実で、二度と戻ることのできない時間の流れと儚さを感じているのかもしれません。「手を握っていて」と願う私は今孤独感を感じており、意図して過去を振り返りたくはないものの、いざ「あの頃」の記憶を思い出すとどこか懐かしい気持ちになると同時に、過去と今の違い変化に苦しさを感じてしまいます。

 

 

思い出から目を背ける本当の理由___

 

目を背けたくなるのは、二度と過去に戻ることができないからこその後悔と、変化の受け入れがたさが理由であって、私が本当に見ていたいものは「あの頃」。

しかし今となってはその時間ももう過去で、再び見ることは出来ません。

もう一度会いたいと思う君は「あの頃」のであって、今のではない。

私も君も大人になって、見た目も考えも変わってしまう現実と、過去の記憶にずっと捕らわれている自分の変わらなさを比較しています。

 

 

「変化」への恐怖___

 

過去への固執とは、言わば過去への「」。私にとってそれはどんなよりも特別なものなのに、故意に過去を思い出したくなかったから、つまり(君からのメッセージのような)昔を振り返るきっかけが無い限り過去を振り返ろうとしてこなかったから、本当は(君を傷つけた過去の様な)後ろめたさがあるにも関わらず、目を背けて都合のいいきれいな想い出だけを振り返ることで「本当のあの頃のこと(苦い思い出)が思い出せない」という私自身の記憶の変化に直面することになります。嫌な思い出も振り返りたくない事実も全て綺麗な記憶で蓋をして、思い出の存在自体をまっさらにしてしまうことで、何か過去を振り返るためのきっかけが無い限り、私は昔について考えることを止めていたのでした。

 

子どもの頃とは変わり果ててしまった現在を愛することもできず、不意に後悔を感じてしまう過去を愛することもできず、自身にとっての大切なものや信じるべきものが分からなくなってしまった私。受け入れがたい現在の代わりとして愛していた筈の大切な過去の記憶にさえも劣等感を抱き、都合の悪いものを全て遠ざける様になってしまいます。

 

 

私が愛するもの___

 

ここで一度、に焦点を当ててみます。「きみを何度でも傷つけた」という歌詞があったように、君には「傷つけられた」という辛い過去があります。

しかし大人になった今、君は自ら『あいたい』というメッセージを私に送り、実際に私と話しているときも、まるで子供の様に無邪気に笑っているのです。

 

拒絶したくなる今や苦い過去に目を背けようとすることで、皮肉にも苦しい現実に捕らわれ続けている私とは裏腹に、過去の私を許して今の私を愛そうとしてくれている君。

君と再会することで、塞ぎ込んでいた過去に触れることで、私は想い出にすがるだけでなく、今の私が生きているこの瞬間を、(過去に傷ついていたであろう君が、久しぶりに私にメッセージを送ってくれた様に)過去のだけでなく今のの優しさも好きになりたい(大切にしていきたい)と思うようになっていきます。

 

ここで「雪の日」のエピソードが出てきますが、私は「この街での記憶が鮮明に思い出せないのは、あの雪の日以来、(私自身の中で)思い出の瞬間で時間が止まっているからだ」と考えるようになります。この「」は、先述の通り「変化」を表しているものではないかと推測しています。

つまり私は変化に直面したあの日以来、変わり続ける現実にも、どんどん遠ざかっていく過去にも向き合いたくなくなったのが原因で、綺麗な想い出さえも上手く振り返ることができなくなった」と考えているのではないでしょうか。

 

それでも私は、もしも君と出逢った場所(過去)を思い出すことが出来たら、私にもっと「過去を振り返るためのきっかけ」や「思い出を取り戻すための機会」を与えてほしいと願います。今まで敢えて見ないふりをしていた「過去」という事実と「過去から変化を遂げてしまった今」という現実の両方に向き合う覚悟が出来たのです。

 

 

ここで改めて「雨」と「雪」の考察ですが、

  • 」が降ると「変化」に「後ろめたさ」を感じてしまう
  • 「出会った場所」「過去」「思い出」が欠けているのは「」の日に「時間が止まった」から(言い換えれば、雪の日に時間が止まらなかったこの街のものは全て「留まることなく変化を続ける」)

ということで、変化」を与えるものではないかと予想しています。

もちろん、「雨」が降っている時の暗い色の空と私のどんよりとした後悔の気持ちを重ねていたり、「真っ白 きれいな想い出」や「(未完成のパズルの様に)記憶が欠けている白いところ」と「雪」の白さを重ねていたりしているとも思うのですが、天気に関するワードが出てきたので、少し考察を広げてみました。

 

 

思い出とは思いがけずに出逢うもの___

 

好きな人や好きな店も無くなった、「あの頃」とは違う。でも確かに私は、昔からこので暮らしてきたのです。「在ったという印」だけが残されていながらも、よくみると中身は空っぽで何もない。正に「抜け殻」のようになってしまった「変化した街」を見て、私は「少しでも過去に触れることが出来たら、完全ではなくとも名残を感じることができたら、それでいいんだ」と願います。

固執していた過去も、受け入れがたい現実も、共に愛すると決めた私は、「思いがけずに出逢う思い出」を再び求めるのでした。

 

 

現在への愛___

 

大人になった今、青春を謳歌していた自身を振り返っても、もう後悔を感じることは無く、純粋な懐かしい気持ちを胸に、「若さは呪いじゃない」つまり「過去は、変化を咎めたり現実から自身を遠ざける存在ではない」と断言します。

無垢で純粋な「あの頃」の君の姿を大切に覚えていることだけが、過去を忘れないでいることだけが「」だと思っていたからこそ、最初の歌詞では「は何度でも傷つける(過去や思い出は私を苦しめる存在でしかない)」と思い込んでいたのでしょう。

 

 

”愛は何度でも”変わってく___

 

しかし」でさえも何度でも変化を続けていきます。私は、過去を愛するだけでなく、変化を続けていく今も共に愛する。何を忘れ、何を守るのか。どれほど歳をとっても、君らしくそして私らしく、「愛するもの」やそれに対する考え方を見つけられればいいのです。かつて「あの頃」への愛だけに執着していた私にとっての愛したいと思えるものや大切にしたいものが変わったっていいのです。

 

変わりゆく今さえも、大切な過去と共に愛することができるのなら、変化を許す私自身をも愛することができる。

 

過去に君を傷つけた私の言葉も、後悔や固執といった感情も、二度とやり直すことのできない一度きりの時間の流れも、取り戻すことは出来ません。

だからこそ、今この一瞬も流れている時間も、忘れてはいけない大切な想い出も、私は共に「愛する」ことを決めたのでした。

 

 

 

 

 

視聴

 

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