家から1番近い総合病院の産婦人科に行き、妊娠確定の診断を受けた日だったと思います。
(もしかしたら、次の週だったかも
)
待合室にいる時に色々と書かなければならない書類がありました。
その中に、わたしのきょうだいに免疫不全症の方がいるかという質問がありました。
わたしには兄がいるのですが、30数年前に生後3ヶ月で亡くなっています。
当時の医療ではまだ分かっていなかったSCIDという病気。
当時は兄を救う術は無く、原因不明の多臓器不全で亡くなりました。
わたしの母親は、これは遺伝の病気かと主治医に尋ねたそうですが、違うと言われたそうです。
時を経て、30数年後にわたしが出産し、息子がSCIDと分かり、家系図を辿って病気の症状などから亡くなった兄もSCIDだった可能性が高い(ほぼ確定)となりました。
なので、質問の欄に、『重症複合免疫不全症』と書きました。
更にはてっちゃんの事も色々と書かなくてはならず、結構な時間を要しました。
最後に、妊娠した時の気持ちなどを書く欄があったので、そこに、
『どんな子でも受け入れる』と書きました。
書き終えて、受付のお姉さんに出しました。
ババーッとチェックしていく中、明らかに見慣れない病名に、
「えーっと…この病気の方は、お母様の〜…」
ああ、きょうだいの誰かを聞きたいのか、と思い、
「兄です」と答えると、
「兄様(あにさま)ですか!」
………
「兄様って!お、お兄様ですね!」
と、めちゃくちゃテンパって照れてて2人して爆笑してしまいました。
受付のお姉ちゃん可愛かったなと思いながら順番が呼ばれるのを待ち、結構待ってやっと診察室へ。
妊娠おめでとうございますと言われた後、やはり第一子のてっちゃんの病気の事になったのですが、
「わたし、この病気の事をよく知らないのですが…」
と、産婦人科医の先生に言われました。
わたし、一瞬テンパってしまって、
「えっ!?あ…、えと…、生まれつきリンパ球の中のT細胞とNK細胞が無くて…、ウイルス感染にかかりやすくて、早期に骨髄移植が必要な病気です」
そして、遺伝の病気であること。
と、めっちゃざっくり伝えてしまいました。
先生も、看護師さんも、移植と聞いて少し驚いた感じでした。
それよりも驚いたのはわたしの方で。
たしかに、この病気は知らない先生が多いよと、大学病院に入院していた頃の主治医に言われていのですが、産婦人科医の先生は知っているものだと思っていたんです。
なぜなら、この病気は早期発見、早期治療が不可欠な病気であり、1番最初に見つけられる可能性があるのが産婦人科の先生だと思うからです。
SCIDは、感染症を発症してからでは治療が困難になってしまう為、アメリカや台湾では出産時のマススクリーニングで発見が出来ます。
日本ではまだオプションで検査できる病院が出来てきていますが、全国的に認知度は低く、以前入院していた大学病院の先生方が新生児マススクリーニングにSCIDも加えるよう活動をしてくださっているのですが、コストなどの面からもまだまだ難しいようです。
だからこそ、産科医の先生に知っていてもらいたいんです。
例えば妊婦の兄弟で赤ちゃんの時に亡くなっている方がいるのであれば、
遺伝性の疾患を持っている可能性があるということ…
難しいんですかね…。
世の中にはたくさんのマイナーな病気がたくさんあるんでよね。
産婦人科の先生も知らない
小児科の先生も知らない
てっちゃんは3つ目に行った病院での血液検査で肝機能障害ではないかと診断されたので、大きな小児病院に運ばれて、運良くそこの病院に併設されている研究所にSCIDを専門にしている先生がいたので、ラッキーだったんです。
知っているのは専門に勉強している先生や、重症感染にかかったSCIDの子が運ばれてくるような大きな病院の先生だけなの?
なんだか、愕然としてしまいました。
これじゃあ、毎年生まれてくるSCIDの子たちの中に病気を見つけてもらえず手遅れになってしまう子が出てしまうのが今後も続くってことではないのか…
なんだかズーンとなってしまいました。
でも帰り道には、今日、担当の産婦人科医の先生1人に知ってもらえた事でよしとしました。
この事は、ほんの小さな一歩だけど、
わたしには、ブログやインスタで発信するくらいしかできないけど、
先生達に知ってもらいたいです。
タイムリミットが短いんです。
見つけてもらわなければ、1歳まで生きられないんです。
早期発見できれば助かる可能性も上がり、予後も良くなる
『重症複合免疫不全症』という病気を。
*しばらく妊娠の話しが続きます。*
