ついに準備が整い、帝王切開手術が始まった。
予定通り13時半ぴったり開始。

初めて手術室に入った。
映画やドラマではみたことあるけど、
本当にあのイメージのままだ。

手術着に着替えて、まずは麻酔の注射から。
先生たちは入念に手を洗っている。
看護婦さんが優しく語りかけてくれて
少し緊張が和らいだ。

麻酔は脊髄のところに入れるらしく、
手術台の上で前かがみになって背骨を突き出した。
先生が背骨を触って、良さそうなところに
注射を💉するらしい。
背骨曲がってるって言われたことない?
先生に質問を投げかけられたが、
言われたこともないし自分では
曲げてるつもりはないので、
ここは先生に全面的にお任せするしかない。
程なく注射がささり何か液が入る感じ。
これは痛みを感じた。でも我慢できる痛みだ。

これからお腹を切られることに比べたら
このくらいの痛みなんて耐えられるさと思った。

注射をしたらすぐ手術台に寝そべる。
程なく足がしびれてくる。腰もだ。
こんなに即効性があるの?と思うほど
一瞬で痺れが下半身全体に回った。
正座してると痺れるあの感覚が下半身全体に
広がる感じ。初めての体験だった。

先生がポタポタ液を垂らして冷たいか聞いてくる。
喉のあたりに垂らすと冷たいけど、
お腹あたりでは冷たさを感じない。
垂れてるのはわかるけど
つめたくないのだ。不思議な感覚だった。

冷たさを感じないことを確認すると
手術が始まった。メスという声とともに
開腹されているようだ。
下半身の痺れは徐々に収まり、
自分の意思では全く動かせない状態になった。
痛くないけれど、お腹が引っ張られている感覚。
きっとお腹が切られているのだろう。
不思議だった。

さすが先生は手慣れており、15分ほどで
赤ちゃんでるので少し押すよーという方とともに
赤ちゃんが出てきた。
自分のお腹から赤ちゃんが取り出されるのは
なんとも言えない不思議な光景として
今も目に焼き付いている。
赤ちゃんは出てくるとすぐオギャーとか細く泣いた。
良かった生きてる。。。

そんなことをぼーっと思っていた。
意識はあるので赤ちゃんの泣き声も聞こえるし
先生方の会話も聞こえる。
ときおり先生が、気持ち悪くないか聞いてくれる。
どうやら吐いてしまう人もいるらしい。
幸い私は問題なく、縫合されていく様子を
下から見ていた。

もちろん自分の体は見えないので
先生方の顔ややり取りを見ているだけ。
その間赤ちゃんは綺麗に洗われて、顔の右隣に
連れてこられた。わぁ、赤ちゃんだ。
何か話しかけなければと思ったが、
良い言葉が出てこず、こんにちは。とだけ言った。

そしてしばらく眺めていると、外で待つ
旦那さんに抱っこしてもらいに行きますね〜といって
看護婦さんが赤ちゃんを外へ連れて行った。

抱っこ第一号は旦那さんだ。
帝王切開だと抱っこができないのが残念なところ。
手は一応動くのだが、手術中だし赤ちゃんに対しては
みていることしかできなかった。
とにかく無事に産まれて良かった。
ほんとそれだけだった。

30分ほどで縫合も終わり、
ストレッチャーでお部屋に帰ることになった。
全く下半身は動かないが話はできるので
外で待っている旦那さんにいろいろ話した。

手術室から出てくる私に、
頑張ったね。と声をかけてくれたのが
1番嬉しかった。

麻酔が切れてくるのは2時間ほど。
個人差があるらしい。
赤ちゃんは2時間は保育器で様子を見て、
その後問題がなければナースステーションに
預けられるらしい、今日はもう会えないので残念。

先生の話によると赤ちゃんはへその緒が首に4回巻いていたらしい。そのため栄養が行き届かず、子宮が収縮すると首がしめられてしまい心音が低下したようだということであった。

へその緒が2回巻きはよくあるようだが、
4回巻きはほとんど遭遇したことがないらしい。
本当に赤ちゃんが無事に産まれてよかった。
エコーでへその緒が首に巻きついている可能性を考えられたとのことだが、まさか4回とは、、、と先生も驚いていた。本当に帝王切開で生まれてよかった。

麻酔が切れてからはもう、痛みとの戦いだった。
あんなに痛いのは生まれて初めての経験だった。
お腹切ってるんだからそうなのだろうけど、
切腹する人ってほんとすごいなと思った。
痛すぎて話せない。自然と涙がでてくる。
とめどなく痛い。ずーっと痛い。
どうしようもなくて
痛み止めの座薬を入れてもらった。
一言二言くらいなら話せるくらいまで
痛みが治まったが、相変わらずの痛さ。
手術当日は眠ることがほぼできなかった。

赤ちゃんが無事に産まれたことだけが
幸いだった(^ ^)