2015年7月11日

受付を済ませ、3番目に呼ばれました。

ドアを開けると、普段能天気な私もさすがに緊張が走りました。
先生の他に、若い医師二人と看護師さんも二人、先生の数歩後ろに控えていました。
明らかに前回とは違う雰囲気に、嫌な予感が拭えません。

腰をかけると、先生が紙に腸の絵?図?を書き始めました。

「肛門からこの辺が直腸、その次にこの曲がっているとこがS状結腸とよぶのだけれどね、」

「はぁ…。」

「この部分にそんなに大きくはないのだけどね、腫瘍があってね?細胞取って検査に出しました。」

「はい…。」

たぶん、重苦しくならないようにと、先生の配慮だと思うのですが、急に説明のテンションが変わりました(笑)

「で、悪い細胞が出ちゃったんだよね~。」←懸命に明るく放ちました(笑)

その後の説明は情けないことによく覚えていません。

「ここの病院はね、開腹手術しかできないんだよね?まだ若いし、腫瘍も小さいし、傷が小さくて済む手術ができる病院で手術した方がいいと思うんだ。」

「紹介状書くけど、いつもお願いしてる病院で秋葉原のM病院があるんだけど、そこでいい?」

突然の申し出(先生にしてみれば当たり前のことなんだろうけど…)に、プチパニック。
告知を受けるなんて思ってもなかったから、手術なんて全くの想定外だし、その手術をどこで受けるかなんて考えてもないし。
そのとたんに、脳が無意識に現実を認識したのか、頭真っ白なのに涙がポロポロこぼれて止まらなくなってしまった。

頭に浮かんだのは、実家の家族と同棲中の彼のこと。
彼は当時ブラック企業勤務で早朝~夜中まで働きづめ。
情けないことにひとりで突き進むメンタルの自信がなかった。
親不孝覚悟で実家に甘えようと思った。

「手術は、実家の埼玉某所近くがいいけど、病院の見当が今すぐにはつかないです。」

「そうだね。そしたらどこの病院でも大丈夫なように書くからね?9割の確率で治せるからね、早いにこしたことはないから、病院は早く決めること、いいかな?」

「はい。よろしくお願いします。」



先生の声はとてもやさしかった。