いい別れをしよう:記事抜粋
最後の撮影が終わった後
みんなで冷たい白ワインをあけてスタジオの隅で乾杯した![]()
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7年前の出会いから 今日の最後の撮影まで何万枚もの百恵を撮ったことになるのだが
これから先 ただの一枚も百恵を撮ることはなくなる![]()
でもそのことに対する感傷は微塵もなくて むしろ爽快感があった![]()
僕自身も百恵にやれることはすべてやり尽くしたのだという気持ちがあるからだと思う![]()
僕自身が所望して個人的に百恵を撮ったということは一回もない![]()
すべてメディアの依頼によって僕は百恵を撮ってきた![]()
つまり それだけ各メディアが山口百恵を受け入れ必要としたのだ![]()
そこに時代の顔としての百恵の偉大さがある![]()
阿木さんの言葉をふたたび思い出す
「いろんな人のラスト・ソングを書いたわ![]()
でも今度ばかり百恵ちゃんのラスト・ソングだけは![]()
なかなか書けないの」![]()
ここ数年 思いのたけを百恵に与え歌わせ続けてきた阿木さんが![]()
今さら「さよなら」とか「おしあわせに」![]()
などという詩を安易に書く気になれないのはよくわかる![]()
いい別れとかきれいな別れ方なんていうのは うまい出会いなんかよりよほど難しい![]()
大仰な惜別の辞なんていうのも粋ではないし![]()
洒脱な口調で 軽い微笑みなんていうのも似合わない![]()
まして涙なんかは途方も無い![]()
何も言わずにさらっとこれで終わりにしよう![]()
新しく来る時代が![]()
去ってゆく時代に入れ替る時![]()
いちいち湿っぽく挨拶や親切めいたご忠告などするわけがないのだから![]()
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