産後に実家に里帰りしていた時、
ペン立ての中に見つけたもの。

ピンクの小さなハサミ。
ではなく、爪切り。
そう。赤ちゃん用の爪切り。
ピンクの塗りもはげて、年季の入ったこちら。
私が生まれた時に買ったものだそう。
38年前の爪切り。
もう誰も使わないのに、ペン立ての中にとってあった。
「物もちいいなぁ」
今までならその程度にしか思わなかったと思うけれど、
これをとっておいている母の気持ちが、
今ならわかる。
娘が寝ているすきに、
起こさないように、起こさないように、
息をひそめるようにして、
そーっと、そーっと爪を切る。
その度に、母の想いと姿が目に浮かぶ。