
果てしない行列
イタリア・バチカンパビリオンは、万博で一番の行列パビリオン。
伝え聞いた話では最大8時間待ち。私が周囲の人から聞いた印象では、平均4時間半、長いときは6時間くらいの待ち時間が発生しているようです。
多くのパビリオンが「列そのものを規制」するのに対し、イタリア館は幸い並ばせてもらえます。大屋根リングのすぐそばにあり、日陰で待てますし、雷雨でも待機し続けることができます。並べば必ず入れるという安心感は、長時間でも気持ちを支えてくれますね。
とはいえ、閉館に間に合わない人数が並ぶと列は打ち切られます。私が通りがかったときは17時ごろに並べなくなっているのを見ました。早い日は16時台で列が締め切られたこともあるそうです。夕方から並べば朝より待ち時間が短くなる場合もありますが、逆に「もう並べません」となるリスクもあるので気をつけたいところです。
なぜこんなに人気なのか?
イタリア館がここまで人気を集めているのは、もちろん展示品が素晴らしいからですが、展示内容が万博の来場者の中心世代である中高年層の好みに合っているからではないかと私は思います。
芸術や歴史に関心がある世代にとっては外せない展示であり、長時間並んでも「ぜひ見たい」と思わせる力があるのでしょう。
ファストトラックで入館
私も中高年の一員として、ぜひ行きたいと思ったものの、長時間並ぶのはやっぱり避けたい…子どもにもぜひ見せたいと思ったけれど、長時間並ぶのは絶対無理…。そこで、会期早々、イタリア館のアプリからファストトラックを家族分予約しました。
勝手に日程を決めて「この日イタリア館取れたので、よろしく」と宣言。数か月待って、ようやく予約当日を迎えました。
当日は行列を横目にすっと入館。列に並ぶ方々の視線が気になるところではありますが、ファストトラックをありがたく利用させてもらいました。
イタリア館は予約時間を経過してからでないと受け付けてもらえない仕組みでした。本当か冗談か分かりませんが、イタリア人の感覚として「遅いのはOK、早すぎるのはダメ」だそうです。
展示
入館するとまずシアター。イタリアの州や歴史をコンパクトにまとめた映像が上映され、ここで人数を調整しているようでした。効率重視で流せばもっと入れられるのでしょうが、「全員にきちんと見てもらう」というのがイタリア館の方針なのだと感じました。
次の展示室では、いよいよ来場者のお目当てが登場。
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彫刻「ファルネーゼ・アトラス」
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彫刻「復活したキリスト」
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絵画 「キリストの埋葬」
アトラスは重厚感があり、存在感に圧倒されました。宗教的なテーマも含まれるため、子どもには「キリストの脇腹の傷」の意味などを説明する必要もありました。せめてどのような場面なのか、背景を知っていないと理解しにくいところですね。
入替えのある展示エリアを過ぎると、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿。残念ながら「写真は1枚、立ち止まらずに」と案内され、チラ見に近い形での鑑賞でした。筆跡をじっくり見られなかったのは残念ですが、写真OKならと急いで撮影。
が、家に帰って見たら1枚ピントあってなかったです…悲しい。
全体として、私は芸術に疎いので、「素晴らしさがわかる人たちが絶賛する作品を自分も見られてうれしい」という気持ちでした。感動の仕方としては少々恥ずかしい思いもありますが、それでも間違いなく特別な体験だったと思います。
屋上テラス
展示を抜けて階段を上ると、屋上テラスに到着。そこからは万博会場が広く見渡せ、虫の声まで聞こえました。
私はレストラン利用はしませんでしたが、この景色の中で食事をすればまた格別だろうな、と感じました。
イタリア・バチカンパビリオンは、宗教美術からダ・ヴィンチの手稿まで、芸術と歴史が一堂に会する展示は圧巻。パビリオンのテーマである「芸術が命をよみがえらせる」ことを体感できるような気持ちになりました。
ただし待ち時間は桁違い。携帯椅子は必須アイテムかと思います。知り合いに聞いたところでは、数人で交代しながら並ぶとトイレや食事に行くとき安心。1人で並ぶ場合は、前後の人と声をかけ合って仲良くなるのもおすすめとのことです。長丁場だからこそ、友好的な雰囲気を作ることで少しでも快適に過ごせるとよいですね。