夕方の当日予約で訪問

 

この日は朝10時前にゲートを通過し、夕方の当日予約をとりました。予約枠にはまだ余裕があり、「国連パビリオンと並んで、これまで行けていなかった場所にようやく足を運べる」という気持ち。実際には予約がなくてもそれほど並ばずに入れそうな印象で、比較的落ち着いた雰囲気でした。

 

現地に着くと、通りを挟んでクエート館の待機列解除を待つ人々が真剣な表情で並んでおり、その熱気に思わず圧倒されるほど。人気の差を肌で感じつつ、静かに赤十字・赤新月のパビリオンへと向かいました。

 

 

 

  パビリオンのコンセプト

 

赤十字・赤新月パビリオンは、日本赤十字社が事務局を務めて運営する公式パビリオンです。スローガンは「人間を救うのは、人間だ。~The Power of Humanity~」。
 

展示は「気づく → 考える → 行動する」という3段階で構成され、日常の大切さを再認識し、人道的な視点を我がこととして考えるきっかけを与えてくれます。

 

約30分で一巡できる構成になっていました。

 

 

  日常の幸せに“気づく”

 

最初の展示は、家族や友達の笑顔、身近な日常の温かさを映し出す空間でした。何気ない日常の尊さに気づいてほしい、というメッセージが込められています。

 

 

私自身も特に子どもの笑顔の映像に胸を打たれ、「日常こそが最大の幸福」という言葉の意味を深く実感しました。

 

 

  シアターで“考える”

 

次に進むと、半球型のドームシアターに案内されます。椅子に座って静かに映像を鑑賞するのですが、このエリアは撮影禁止。

 


映像には、紛争や自然災害で大切な人を失ったり、無力感に打ちひしがれたりする人々の姿が映し出されました。その一方で、「誰かのために自分の力を使いたい」と語る支援者の言葉も紹介され、心に深く響きました。

 

赤十字・赤新月が世界各地で行ってきた活動を知るだけでなく、感情に直接訴えかけてくる構成で、私も思わず涙が出そうになる場面がありました。

 

 

 

  メッセージを“行動”に

 

最後のエリアでは、自分の気持ちをメッセージとして投稿し、大型スクリーンに投影できる仕掛けがあります。私は子どもと一緒に言葉を考えて、メッセージを飛ばしました。自分の思いが映像となって会場に広がっていく体験は、とても特別で心に残りました。

 


出口付近にはグッズショップがあり、赤十字の活動を応援できるオリジナル商品が並んでいます。売上の一部が寄付につながる仕組みで、ちょっとしたお土産がそのまま社会貢献になる点も印象的でした。さらに、館内では献血の予約受付も行われており、展示だけで終わらず「実際の行動」へとつながる仕組みが用意されているのも特徴的です。

 

 

大阪・関西万博には未来の技術や驚きの体験を提供するパビリオンが数多くありますが、赤十字・赤新月パビリオンは「すぐ隣にある非日常」に目を向けさせてくれる貴重な場所です。日常の幸せを改めて意識し、困難に直面する人々に思いを馳せ、そして「人の力を信じたい」という気持ちを新たにできる展示だったと思います。