平日の夜、19時ごろにコロンビア館を訪れました。会場はすっかり夕暮れの雰囲気で、光の演出がいっそう映える時間帯。待ち時間は15分ほど。館外に並び、入ってからも少し待機がありましたが、比較的スムーズに進めました。

 

 

館内に入って最初に出迎えてくれたのは、天井に舞う無数の黄色い蝶。壁にはノーベル文学賞作家・ガブリエル・ガルシア=マルケスに関する紹介がありました。

 

 

私、この方の名前を初めて知ったのですが、調べてみると、彼は『百年の孤独』などで知られるコロンビア出身の作家で、「マジックリアリズム」という独特の手法で、現実と幻想が交差する物語世界を描くことで有名なのだそうです。

 

蝶は、彼の作品にも頻繁に登場するモチーフとのことで、ここから先の展示にもその象徴が続いていきます。

 

 

 

  五感で巡る「コロンビアの恵み」

 

次の部屋に入ると、円筒状の柱がぐるりと配置された空間。

 

 

柱の上には、コーヒー豆、エメラルド原石、赤い砂、岩塩、そして水といった、コロンビアを象徴する“自然の恵み”が展示されています。

 

 

どれも実際に「手で触れられる展示」なのですが……正直なところ、水は少し濁っていて、あまり清潔な印象は受けませんでした。触覚で自然を体験するという意図は伝わってきたものの、少し抵抗を感じたのも本音です。

 

とはいえ、部屋全体を包む映像は美しく、花が咲き乱れ、ウミガメが泳ぎ、シダが風に揺れる様子などが色鮮やかに表現されていました。

 

 

  生き物たちの影が浮かぶ、もうひとつの“森”

 

さらに進むと、また印象的な空間が登場します。天井一面に切り絵のように浮かび上がる動植物のシルエット。蝶、鳥、カエル、魚、植物、虫……。コロンビアの生物多様性の豊かさを象徴する空間です。

 

 

この部屋では、コロンビアが持つ自然の「多様性」に焦点を当てた映像展示もありました。実際の展示パネルによると、蝶は約4,059種、ランは4,270種以上登録されており、それぞれ多くの固有種を含んでいるそうです。まさに超多様性国家ですね。

 

この展示を見て、ただ「自然が豊か」というだけでは語り尽くせない、コロンビアの奥深さと誇りのようなものを感じました。

 

 

  蝶の記憶

 

コロンビア館は、派手なアトラクションこそないものの、静かに美しく、多様性や自然とのつながりを感じさせてくれる空間でした。展示を見終えた数日後、地下鉄の吊り広告であの黄色い蝶のシルエットを見かけ、「あっ、コロンビア館だ」とすぐに気づきました。それだけ印象的な体験だったのだと、改めて感じました。

 

 

もともとあまり知らなかったコロンビアですが、今では「蝶=コロンビア」というイメージが自然に結びついています。