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大阪・関西万博のマルタパビリオンは、北欧パビリオンの隣にあったので、たまたま立ち寄ってみました。事前にはまったくノーマークだったのですが、30分並んで入ってみると、予想外に面白い展示に出会うことができました。

 

 

  すっきりした建物と、水辺のアプローチ

 

建物の外観は石灰岩を思わせるすっきりしたフォルムで、壁面には映像がダイナミックに映し出されています。入口前には浅く水を張った水盤のようなスペースがあり、風がそよぐたびに光が揺らめくのが涼しげでした。

 

パビリオンのテーマは「変化の波にしなやかに対応し進化する島々」。自然素材と映像、光と影を組み合わせたデザインで、まさに“時のゲートウエイ”と呼ばれる入口にふさわしい雰囲気です。

 

 

 

 

  約20分で見て回れるコンパクト設計

 

入場は約30人程度ずつ区切られており、所要時間はおよそ20分ほど。展示スペースはこじんまりしていて、展示物の数自体は少なめですが、印象に残る工夫が凝らされています。

 

 

  文久遣欧使節団が贈った日本の甲冑が帰国!

 

1862年、文久遣欧使節団がマルタに立ち寄った際に寄贈した日本の甲冑が、約160年の時を経て日本へ“里帰り”。2015年にマルタで再発見され、京都の職人が約2年かけて修復。今回、マルタ騎士団の甲冑と並べて展示されていました。

 

ヨーロッパの甲冑はとにかく分厚く重厚。日本の甲冑との対比が面白く、文化や戦術の違いを感じられます。

 

 

あとから調べてみたら…

この「マルタ騎士団」は、十字軍の時代に誕生した修道会で、巡礼者の保護と医療を目的に活動していたそうです。その後、マルタ島を拠点に軍事的役割も担うようになり、現在はローマに本部を置いて人道支援を行っているとのこと。

 

展示されていた甲冑も、そんな背景を知ると重みが増して見えてきますね。

 

 

  マルタのロゼッタストーン「シッピ」

 

もうひとつ注目したいのが、フェニキア語とギリシャ語が刻まれた「チッピ」の展示。

 

 

こちらは本物かレプリカは、忘れてしまったのですが、二言語で同じ内容が書かれていたことからフェニキア語の解読の手がかり=“マルタのロゼッタストーン”とも呼ばれているものということでした。

 

このほか、デフォルメされた女性の像がありましたが、なんとなく、土偶の女性像に通じるものを感じました。

 

 

  最後に、湾曲スクリーンでの映像体験

 

展示の最後には、湾曲した大型スクリーンによる映像体験があります。

映像はローマ時代から始まり、騎士団の登場、そして現代へと時代が流れていく構成。マルタの歴史をざっくりたどりながら、建築、宗教、交易、現代の都市生活が映し出されていました。

 

 

  マルタってどんな国?

 

地中海のほぼ中央、イタリアの南に位置するマルタは、古代から交易の要所として栄え、多くの文明が交差した島国です。

  • 紀元前からフェニキア人やローマ人が定住

  • 中世にはマルタ騎士団の拠点に

  • 第二次世界大戦中はイギリス領として重要拠点に

  • 現在はEU加盟国で、多言語・多文化が共存する観光立国


展示物は少なめですが、日本との深い歴史的つながりを感じられる甲冑、古代文字の謎を解いた碑文「シッピ」、短くも印象的な映像体験と、ギュッと詰まった20分間でした。