毎日新聞
2012年に「南部蝉(せみ)しぐれ」でメジャーデビューしてから5年。民謡歌手として鍛えた力強い歌声で聴衆を魅了し、次代を担う演歌歌手の一人として注目を集めている。9月1日から大阪・新歌舞伎座で2年ぶりの座長公演を開く。
公演は2部構成で、第1部の芝居「母ちゃんの浜唄(はまうた)」は、高度経済成長期の東京を舞台に、岩手から上京した青年の成長を描く。時代は違うものの、自身も岩手の出身。「自分の人生と重なる部分が多く、台本を読んで涙が出た」という。
今年2月の東京・明治座公演でも上演して好評を博した。主人公の青年を演じながら、仕事で家族が一緒にいられなかった幼少期の記憶や、母に心配をかけた思春期の頃のことを思い出したという。
「お客さんが泣いているのを見たら、もらい泣きしてしまいそうで客席を直視できませんでした。自分も上京してから『いま一生懸命頑張らなくて、いつ頑張るんだ』という気持ちでやってきました」
「親父(おやじ)から勉強したのは、
歌よりも姿勢。
でしゃばらないこと。角の立つ言い方をしないこと。
そして視野を広く持ち、
一つのことに対して二つ、三つのことを考えながら仕事をするということ。
歌には人間性が表れると思います」
幼い頃は父のことも民謡も嫌いで、歌手になるなんて想像もしなかったという。
17歳の時、民謡の全国大会で父の歌を聴いて感動したのが転機となった。
後を追うように23歳で民謡歌手として活動を始めた。
「生きているうちはけんかばかりでしたが、親父がいなければ歌手にはなっていませんでした。
『親父のおかげで、今こうして頑張れているんだよ』と言ってやりたい」。
そう語ると穏やかな笑みを浮かべた。【関雄輔】
大阪の人優しいですね。情に厚く、一度認めてもらえたら、とことん応援してくれる土地柄だと思います。