side M
梅雨の合間の晴れたある日。
僕と大祐さんはいつもの公園に来ていた。
今日はのんびりと公園デート、とでもいうのかな。
大祐さんもランニングはお休みで、僕達は公園内をのんびりと散歩していた。
「やっぱり晴れると気持ちが良いな。」
大祐さんが伸びをしながら空を見上げる。
「このところずっと雨ばっかりだったからね。
やっぱり雨より晴れの方が良いよね。」
こう応えると大祐さんは僕を見て、
「真緒は、晴れてる方が好き?」
ニッコリと微笑む。
「そうだね。
晴れた日の空は最高だし、それを大祐さんと見るのも好きだから。
でも、僕って雨男なんだよね・・・」
そう。
晴れて欲しい時に限って何故か雨が降る。
小さい頃から、遠足とか運動会などは天気がイマイチの事が多かった。
その時の事を思い出して元気がなくなっている僕に、
「だったら、俺といれば大丈夫だよ。
俺はばっちり晴れ男だからな。」
大祐さんは更にニコニコと嬉しそうになる。
「そうなの?
だったら、僕はずっと大祐さんといれば良いんだね。」
まあ、僕はいつだって大祐さんと一緒にいたいからね。
きっと心配ないかな。
と、思っていたら・・
「何だか空が暗くなってきた?」
さっきまで青空が広がっていたのに、急に灰色の雲に覆われてきている。
ポツ・・・
「わっ、降ってきた!」
ポツポツと小さな雨粒がみるみるうちに大きくなっていく。
「今日は雨降るんだったっけ?」
「夏は急に降り出す事があるからな。
多分にわか雨だろう。」
とりあえず公園内の東屋で雨宿りしようと走った。
「まだ止みそうにないね。」
ここに来るまでの間で少し濡れてしまったけれど、今は屋根の下なのでこれ以上雨に当たる事はない。
しかし、相変わらず雨足は強いままだ。
「今の時期は寒くないし、むしろ湿気で蒸し暑いくらいだから・・
よし、走るか!」
そう言うと、大祐さんは僕の手を引いて雨の中へ飛び出した。
「えっ!あ、大祐さん!?」
パシャパシャと水しぶきを上げながら前を行く大祐さんを追う。
あっという間に髪も服も濡らしていくけれど、
「なんか、気持ちいい!」
それを楽しむかのように、はしゃぐ大祐さん。
確かに。
暑さで火照った体に少しひんやりとする感じが気持ちいいかも。
「雨のシャワーだね!」
そんな大祐さんを見られるのは滅多にないから、僕まで楽しくなってきた。
「このまま家に帰ろう。」
大祐さんの家まで二人で走る。
彼と一緒なら雨に濡れたって気にならなかった。
「ふうー、ただいま。」
家に着いた時にはすっかりずぶ濡れになっていた。
「あ、このまま上がったら床が濡れてしまうよ。」
どうしたらいいかなと思っていたら、
「後で拭けばいいから。
それより早くこっちへ。」
ちょっと強引に手を引かれ、部屋の中へ入る。
そして向かった先は・・バスルーム。
「濡れついでだから、このままシャワーを浴びようか。」
そう言って服を脱ぎ始める大祐さんだけど、
「ほら、真緒も。」
水分を含んでなかなか脱げない僕の服も脱がせていく。
目の前に大祐さんの裸の胸があって、いつもなら見慣れているはずなのに、やけにドキドキとしてしまう。
「あ・・大祐さん・・」
「雨に濡れた真緒ってすごく色っぽいんだな。
俺、もう我慢できないよ・・・」
もう・・
そんな事言われたらどうにかなってしまいそうだ。
でも、大祐さんこそ色気がすごくて・・・
その目で熱っぽく見つめられると、僕はもう彼のなすがままだった。
頭がボーッとして全身がふわふわとしている。
そんな僕を支えるように、大祐さんが濡れた体を拭いてくれる。
「はい、これでよしっと。」
最後に頭を拭いてからそのまま大祐さんの手が頰へと移り、チュッと唇に口付けられる。
先程までシャワーに打たれながら何度もキスをしていたので、あっという間にまた体が熱をもつ。
もっと欲しくて僕の方から唇を寄せると、大祐さんの目が再び熱を帯びていく。
「ん・・っ」
触れるだけではない深いキスが唇に送られる。
「真緒、このまま良いのか?」
「うん、良いよ。
僕ももう、我慢できないから・・・」
そう、このままじゃいられない。
彼と愛し合う以外に考えられないんだ。
「そうか・・
愛してるよ、真緒。」
「ん・・僕も愛してるよ、大祐さん。」
そうして、僕達はゆっくりとベッドへ沈んでいった。
雨はあまり好きではなかった。
でも、彼と一緒ならそれも楽しみに変わる。
こんな風にいつも彼が側にいるなら雨の日も悪くないと、抱きしめられた腕の中で思うのだった。
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こんばんは
夏は急に雨が降る時があります。
そんな、突然の雨に見舞われた二人。
晴れた日の空を見たり写真に撮ったりが好きな彼らですが、雨の日でもちょっと楽しく、そしてイチャイチャに(〃ω〃)
一緒なら、雨だって悪くないと思うのでした。
読んでいただき、ありがとうございました