side M


早朝、隣で眠る彼を残して僕はベッドから抜け出す。

昔から、夜は弱いけれど朝には強い。

今朝も目覚ましなしで目が覚めた。


床に降りて大きく伸びをする。

カーテンの隙間から差し込む光が眩しい。


今日は良い天気だ。


寝室からリビングへ移動して、部屋のカーテンを開ける。

広い窓から覗く青空に、良い一日になりそうだと心も晴れやかになる。


窓を開けてベランダに出ると、晴れた朝特有の爽やかな空気が体を包む。


深呼吸して空を見上げて・・


あ、そうだ。


一旦部屋に戻りカメラを手にして再び外に出ると、空に向かってシャッターを切った。


何枚か撮ってからカメラを下ろして、自分の目で見上げていると、


「今朝はいい青空だ。」


後ろから声がした。


「大ちゃん。」


振り返ると眩しそうに目を細めて微笑む彼がいた。


「まおはいつも早起きだな。」


「今日は空がとっても綺麗だったからね。」


僕も大ちゃんに微笑み返してから、また空に目を遣る。


「この時期の青空って良いな。

ずっと見てても飽きないよ。」


大ちゃんが僕を背中から抱きしめてくる。


僕の肩に顎を乗せた大ちゃんの顔がすぐ近くに来て、二人の目線が同じ高さになる。


「でも、もうそろそろ・・」


耳元で聞く大ちゃんの声がくすぐったい。


「何?」


「まおの顔を見せて。」


と、大ちゃんが頰を寄せてそこに口付けた。


「ちょ・・っ、大ちゃんっ!」


家のベランダとはいえ外だから、誰が見ているかわからない。


「ここではダメだよ。」


僕は慌てて大ちゃんを引き剥がそうとする。


「じゃ、中でなら良いのか?

そういや、おはようのキスがまだだったな。」


そう言うと、大ちゃんは嬉しそうに僕を部屋の中へと押し込んだ。


「もう・・っ、しょうがないなぁ。」


僕は大ちゃんに触れるだけのキスをする。


口ではこう言ったけれど、こんな大ちゃんも好きなんだよなぁ・・


僕の方が早く目覚めた朝は、まだ眠る大ちゃんにおはようのキスをする事はほとんどない。


起こさないようにというのもあるけれど、触れてしまったらベッドから出たくなくなるから。

このまま、大ちゃんに抱きしめて欲しくなってしまうんだ。


想像して一人赤面していると、


「このままベッドに戻りたくなるな。」


大ちゃんが、僕が今思ってた事と同じ事を言ってきた。


心の中を見透かされたようで、何だかますます恥ずかしくなってしまった。


そんな僕に気付いた大ちゃんは、


「なんてな。

ベッドに戻ったら、まおに夢中で遅刻してしまうもんな。

今夜のお楽しみに取っておくよ。」


ウインク付きで笑って、僕の唇に軽くキスをした。


「もう・・っ。」


大ちゃんのその所作も相変わらず格好良くて、僕の胸のドキドキは収まらなかった。



朝目覚めて澄んだ青空が広がっていた時。

隣に愛する人がいる事。

同じ目線で空を見上げて、微笑み合える幸せ。



だから、僕は晴れた6月の朝が好きなんだ。






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こんばんはニコニコ



6月に入り、約一週間が過ぎました。


今の時期が一番日が長くなる時期で、よく晴れた朝の空気って気持ちが良いなぁ。

と思った所からの妄想話です。


何気ないいつもの朝の風景の中の、ほのぼのイチャイチャな二人でした。



読んでいただき、ありがとうございました照れ