喧嘩した翌日…。自分の家に帰りたくない響葉は稲坂に〝家泊まらせて〟とお願いした。
お願いされた稲坂は考えた末、〝家に輝春がいるから…何か知ってるのか話したら?〟と言って響葉を家に連れていった。まだこの時の響葉は瑠依が浮気してると思い込んでいた
「ただいま~!輝春いるかい~?」
家に着いた稲坂と響葉は中に入っていった
「おかえ…り。なんで響葉が居んの?なんかあったの?」
リビングからひょこっと顏を出したあと、稲坂の後ろにぶすっとした顏の響葉の存在を気付く
「あー色々あってな…泊まらせてって言われて連れてきたんだ」
稲坂はえっと、と頬をポリポリと掻いた
「色々?…ん…ここで話すよりリビングで話して?響葉」
柚雪はそう言った後に響葉をリビングに連れていった
「ちょっ、柚雪…」
されるがままの響葉は混乱していた
「で?なにがあったわけ?さっきからぶすっとしてるけど?顔が」
お茶が入ってるコップをテーブルに置きながら柚雪はそう言った
「ん…うん、瑠依がさ…」
響葉は柚雪に何があったか説明した
「ふーん?瑠依がな…でも俊と居ただけだよね?あの二人がすると思わないな…。後、俺は絶対してないと思うよ。」
柚雪はテーブルに肘をついて手のひらに顎を添える。呆れた感じで小さく笑う
「なんでお前がそんなことわかるんや…!あいつらに会ってへんくせに…」
少し柚雪の言葉にイラっとして、声を荒げた
「…〝くせに〟?あんたこそ、信じたいのにって言ってるけど…信じてないのなんで?恋人のくせに」
柚雪は手のひらに顎を添えたまま、片眉を上げながら響葉を煽るような言い方をする
「……っ、信じてへんわけちゃう…!ただ…」
響葉は反射的に言い返しながらも奥歯を噛み締めた
「じゃあ何?あの二人が一緒にいただけで浮気確定?」
柚雪はそう言いながら、顎を乗せていた手をゆっくり外して椅子にもたれかかる
「そんなんやない…!あいつ、俺には何も言うてへんからや…」
響葉は立ち上がり、苛立ったように言い返した
「へぇ。〝言ってくれなかった〟のが嫌なんだ?」
柚雪は目を細め、そう言いながら机を指先でとんとん叩く
「まぁまぁ、二人とも…落ち着いて。なぁ、燐道…不安になるのは普通だよ。誰でもあるよ」
稲坂はその様子を見ながらも、二人の間に入って静かに口を開いた
「……っ」
稲坂にそう言われて、響葉はなんも言えずに再び椅子に座る
「瑠依はさ、ああ見えて不器用だよ。自分から誤解解くのも下手だし、言いたくても言えないことだってある。俊と居ただけで浮気扱いはさすがに可哀想じゃない?」
深いため息をしたあとに腕組みをしながらそう言った
「そうだよ、燐道。輝春の言い方はきついけど…俺も成海がそんなする奴じゃないって思ってる」
稲坂は少し困ったように笑いながら響葉を見つめる
「でも賢久さん、コイツ俊と居ただけで浮気認定って、だいぶ重症だよ。ほんと呆れるわ…俺」
柚雪は稲坂を見た後、響葉を見ながら肩をすくめる。
「せやから認定なんかしてへんやろ!」
響葉は声を再び荒げ、テーブルを軽く叩くいて睨み付ける
「でも頭の中では黒だったでしょ?あんた」
柚雪は即座に言い返し、指でこめかみを指す。
「……っ」
響葉は言葉に詰まり、視線を落とす
「ほら、図星。信じたいって言いながらもう疑ってる顔してるし、恋人なのに口だけで言ってる。瑠依可哀想」
柚雪はそう言った後、コップを持ち上げ、一口飲んでから鼻で笑う
「燐道、ちゃんと話したほうが楽になると思うよ?このままだと君も成海もしんどいでしょ?」
稲坂そっと響葉の肩に手を置き、優しい声でそう言う
「うるさい…そんなことわかってるんや!わかってる…」
視線を落としたまま、そう言いながら拳を握る
「わかってないから今ここにいるんでしょ?瑠依、浮気するタイプに見えるの?」
柚雪は呆れた声でそう言ったあと、真顔なり〝ねぇ響葉〟と言って見つめる
「……わからん」
響葉は一瞬だけ黙り込んだが弱く答え、肩を落とす。
「わからんじゃないよ。知ってるでしょ。しないってこと」
柚雪は即座に〝はぁ?〟否定して、真っ直ぐ言う。
「……」
響葉は何も言えずにいた
「でも疑った。それが今のあんただよ、響葉」
柚雪ははっきり言う。だけど少しだけ優しく言う。
「輝春の言ってることは間違ってないよ。君がこのままだとなんも解決にもならないとおじさんはそう思う」
稲坂は頷きながら視線を合わせてそう言った。
「賢久さんの言った通りだよ、なんも解決にもならないし…あんたなんでここに居んの?そんな顔して家飛び出すくらいなら、ちゃんとぶつかれよ」
柚雪はそう言いながら指で響葉の胸元を軽く突く。
「うん、そうだね。ちゃんと成海の事を信じてあげな?」
「……」
響葉は何も言えないまま、拳をゆるめる。
「ここで油売ってる暇あったら今すぐ帰って瑠依と話したら?」
柚雪はため息をして立ち上がり、玄関を顎で示す。
「うん、泊めるのはいつでもできる。でも、このままダメ。一回、成海と話して、ダメだったらここに来な?」
稲坂は小さく頷き微笑みながら言う。
「ほら、黙らないで?真正面からぶつかるの、あんたでしょ」
はぁぁぁ…深ーいため息をした後に響葉を立ち上がらせて見つめる
「……でも」
響葉は深呼吸し、拳を握り直す。
「ほら、また…。そんなこと言う前に今すぐ帰って話したらいいじゃん。でしょ?賢久さん」
「そうだね、誤解したままだと俺たちも心配なんだから」
クスッと笑った後、玄関前まで歩いた
「…分かった…迷惑かけたな?稲坂さん、柚雪」
ぎこちない笑いをしながらそう言って見つめる
「うん、全然いいよ。ダメだったら来な?」
柚雪は呆れた声でそう言いながらドアに手をかける。
「…うん、ごめんな?せっかく二人の時間やったのに…」
響葉は一瞬立ち止まり、そう言った後、クスッと笑って自分の家に帰った
「はぁ…これで俺が言えるのはここまで。ほんと不器用」
柚雪は小さく息を吐き、頭を掻いた
「ごめんね?輝春。燐道の話を聞いてありがと」
稲坂は窓の外を見ながら、柔らかく微笑む。
「いいよ。別に」
そう言いながらリビングに戻った
「ところで…輝春?知ってるよね?」
柚雪の後を追って、リビングに行ってそう言った
「え~?まぁ~…。でも安心して見守って?賢久さん。もうすぐわかるから、なんで二人でいるのか」
振り向いて柚雪はそう言って、稲坂の唇に指を当てた
あれから数日が過ぎ、響葉はいつも通り家を出る準備をしていた。あの夜、柚雪や稲坂に言われたことを思い返しながら、心の奥底でまだ残るわずかな不安を抱えつつも、表面上は落ち着いていた。瑠依はついさっき家を出た
「はぁ…瑠依はもうおらんか。何してんのやろ…。俺も出ないと…」
(でも、まだ少しだけ不安が残ってるのも事実…)
響葉は鏡の前で寝ぐせを直しながら、軽く肩を回す。数日前の誤解は解けたはずなのに、頭のどこかでまだ「信じていいのか」という気持ちが残っている。
「あかん…。大丈夫やろ…」
シャツを着替えながら、手首に軽く力を入れる。拳を握る自分に、少し苦笑いが漏れた。
「余計なこと考えんな。練習や、練習」
(よし…今日も練習。いつも通りで、俺らしく…)
カバンを肩にかけ、家を出た。駅までの道を歩きながら思考を無理やり整理していく。そして駅に着き、イヤホンを耳に押し込み、音楽を再生しながら事務所まで向かった
「おはよー…」
事務所に着いた響葉はレッスン室のドアを開けると、いつも通りのメンバーが準備をしていた。
「おはよ~!響葉」
「おは~」
「お?おはよう。」
響葉は軽く会釈を返しながらバッグを置き、ジャケットを脱ぐ。肩を回して簡単なストレッチを始める。遅くやってきた愛美も軽くストレッチをし始めた。してるその時…
「みんな、いるな?」
ガチャっとドアを開けて周りを見渡したあと、そう言った。
「…は?」
(俊と瑠依…?なんであいつら先生と居るんだ?)
顔を上げた瞬間、愛美は思わず声が出た。振り付け師の後ろには俊と瑠依の姿があった
「えっ、なんで俊と瑠依がおるの?!」
「…え?瑠依?」
(なんでこいつらがおんの?)
「あー…こう言う事ね…。輝春が言ってたことって」
「お前らなんで居んの?糸瀬、成海」
響葉たちも驚いたように俊たちを見てざわつき始め、次々と声を上げていた。
「はいはい、集まってー」
その空気を切るように、振り付け師は手を叩き、全員に向かって声を張って中央へ歩み出る。
「「「「はーい」」」」
「……」
全員は一斉に返事して自然に集まる中、愛美は遅れて輪に入る。
「明後日はな特別編成で糸瀬と成海が、ライブに出るからな!」
全員が集まったのを確認してから資料を開いてそう言ったあと、じっと全員の顔を見渡す。
「はぁ!?急すぎるって…!」
葵唯は大きく声を上げ、場が一気に騒がしくなる。
「ちょ…待って聞いてないんやけど!?リーダーやのに…」
「ガチで…?せやから…お前ら一緒に…」
(この為に二人は会ってたんか?)
驚き混じりの声が重なり、視線が俊と瑠依に集中する
「………」
愛美も目を見開いたまま、言葉が出ない。俊と瑠依を交互に見て、状況を理解しようとした。そんな中…
「ふっ…やっぱり君たちは知ってたんだね、姫宮。」
そして、愛美と響葉の誤解は解けて、愛美たちと瑠依たちで練習をした
練習後に愛美が〝どういうこと?これ〟と言って瑠依たちは訳を話した
ーーー練習後(事務所の外)ーーー
「ごめん…俺…ほんまに最低やったわ…」
響葉はそう言って肩を落としながら歩く
「うぇ…?最低?」
響葉の隣で歩いていた瑠依はそう言いながら首を傾げる
「俺…浮気とか疑って…瑠依の事…信用できんかった。最低やった、ごめん」
申し訳なさそうに見つめてぎこちない笑いをした
「あー…それ?まだ信じてくれなかったのかよ。ったく…俺が浮気する訳ねぇじゃんよ、俺は響葉しかいないよ」
瑠依は一瞬何も言わず、響葉の目をじっと見つめたあと、立ち止まって響葉の服をギュッと掴んでそう言って小さく微笑む
「瑠依…」
そう言われた響葉は少し胸の奥がぎゅっとなるのを感じた。
「んー…じゃ、これでいいよ響葉」
そう言った後に瑠依は響葉にチュッとキスをした
「んっ…〝これでいいよ〟って…そんなんじゃ…」
キスされた響葉はそう言いながら首を横に振る
「いいんだよ!それで許す。あとでいっぱいシよ?」
瑠依は響葉の頬を軽くパンッと叩いてニコッと笑う
「……はぁぁ…ほんまに、お前は…」
思わず吹き出して、〝わかった〟と言った響葉。この後二人は家に帰ってイチャイチャをした
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