昨日と打って変わって、今日は寒い日となりました
昨日は、春🌸の先触(さきぶ)れのような柔らかな風が吹いていたのに……。
まあ、お天気とはそんなものですね。しかたがない。
さて、カン・ファギルの短編集『大丈夫な人』📘を読み終わりました。
おもしろかった てか、怖かった
本📗の裏表紙には、次のような紹介の言葉が掲載(けいさい)されていました。
「他者の行動の裏に潜む悪意 絡(から)み合い、連鎖(れんさ)する不安」
まさに、その通りの内容でした。
「開かれた結末」は、読者に様々な結末を想像させて、後を引きます。
そして、信頼できない話し手。
一人称で語られる話者の物語を読み進めていくうちに、
だんだんと、その話者の言葉の信用性が揺らいでくる。
この話し手の言葉をそのまま信用してもいいのか、それとも……。
また、女性👩を取り巻く日常生活の中で、
ホラーのような危険な落とし穴があちこちに開いていることを
意識させられる物語もあった。
性を取り巻く暴力の気配。
腕力がある者に対して、相手に危害を加えられないように気を遣(つか)うことが、
返って相手に優越感を与え、
コントロールしやすい人間として判断されてしまう皮肉。
そして、少しづつ窮地(きゅうち)に追い詰められ、
最終的には抜き差しならない状況に追い込まれていく展開。
いやあ、これはほんまにホラーですわ
人の悪意をこんなにまざまざと、恐ろしいほど的確に表現できるなんて、
さすが韓国❕(韓国のホラー映画も超一級品ですよね❕)
カン・ファギルはイギリスでも評価の高い作家だそうですが、納得です
しかし、腕力(わんりょく)が弱いだけで、
どうして女性がこんなに抑圧されなければならないのか、本当に納得できません❕
人間は原始時代に比べて、脳が大きくなったのではないのですか❓
それとも、脳みその大きさより、腕力の強さ、声の大きさが物を言うぐらい、
原始的なレベルに、まだまだ留(とど)まり続けているのでしょうか❓
……たぶん、そうなのでしょうね。
未(いま)だに、戦争で女性が戦時性暴力に遭(あ)ったり、
平時においてさえ、
性暴力の危険に怯(おび)えなければならない状況が発生するわけですから。
カン・ファギルは、パンチの効(き)いた、
とても深く考えさせられる物語を書くことができる、
たいへん稀有(けう)な素晴らしい作家です