ドサッ__




菅「着いた〜」


机の上には大量の資料が積み上がる。




疲れた〜と言いながらパタパタと手で扇ぐ姿に何故か心がドキッと音を立てる。



茜『生徒会室ってこんな感じなんだね〜』


私は菅井さんから視線を逸らすようにして生徒会室を見回した。






しばらくして菅井さんの方に視線を戻すと、菅井さんは黙々と作業を進めていた。




茜『これ...全部1人で?』


私がそう聞くと、菅井さんは寂しそうな目をして頷いた。


菅「実は......去年の生徒会、3年生がほとんどで...2年生と1年生は全然いなかったから、今3人しかいなくて...」


そんなに生徒会って大変だったんだ...



茜『私...手伝おうか?』


あ...

口に出してしまってはもう遅い...


菅「え!いいんですか?!」



そんなキラキラした目で見つめられたら...


茜『...いいよ』


こう言うしかなくなるじゃん



菅「ありがとうございます!」



あ、またこの笑顔が見られた。


それだけで私はこう言ってよかった、そう思えた。
私って意外と単純なのかも





菅「あ...えっと...」

茜『ん?』

菅「...名前...」

茜『あ!そういえばまだだった!守屋茜っていうの、呼び方はあかねとか何でも...』

菅「あかねあかね...あかねん!あかねんにする!」

茜『じゃあ私は...ゆっかー!ゆっかーにする!』



改めて考えたらゆっかーって...

センスないな私。

でもゆっかーは気に入ってくれたみたいで何度も私にゆっかーって呼んで、と私に迫ってくる。




ずっと私の隣でこうして笑っててくれたらなぁ




私の中でいつの間にかそんな気持ちが芽生えていた。











それから時が経つのはあっという間で一学期の期末考査も終わり、テニス部は他の部活よりも早く引退試合があったため部活も引退して、もうすぐ夏休み。


あれから私は毎日ほんの少しの時間だったけど、ゆっかーのいる生徒会室に通った。
部活を引退してからは放課後も一緒に過ごすことが多くなった。



そんなある日



今日も終礼が終わるとまだ部活のある愛佳と別れていつも通り生徒会室へと向かう。


扉を開くとすでにゆっかーは来ていて、せっせと資料に目を通している。

あいかわらず来るの早いなぁ...

そんなことを考えながら、ゆっかーの隣に座って同じように資料を広げる。




菅「あかねん...」


急に名前を呼ばれて驚き、顔を上げる。


菅「...一つだけお願い聞いてくれる?」


いつも私の前ではニコニコしているゆっかーが珍しく真剣な顔でそう言ってくるから自然と私の背筋もピンと伸びる。


茜『ん?』





菅「あかねん...副会長になってくれませんか?」

茜『え!私が!?』

菅「うん!...あ、ごめん、迷惑だったよね...」

茜『あ、ううん、そうじゃなくて...本当に私でいいの?』


菅「あかねんだからこんなこと言うんだよ」


あかねんだから


その言葉は、ゆっかーにとって私が特別な存在と言ってくれている気がして素直に嬉しかった。


茜『でも、ゆっかーみたいにちゃんと話せる自信ない...』

菅「それなら大丈夫!」

茜『え、なんで?』


ゆっかーはニコニコしながら分厚い本を広げて私に見せる。



“副会長は候補者がいない場合は生徒会長が選んで良し”

そこにはこう書いてあった。



菅「だから、あかねん...守屋茜を副会長に任命します!」

茜『は、はい!』

菅「あかねん緊張してる〜?ふふっ可愛い〜」

茜『可愛いのはゆっかーだよ〜』



私が思わずそう言うとゆっかーは顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。


いつものゆっかーなら“絶対ないよ〜”と笑って返してくれるのに


だからちょっと気不味い







茜『私も...一つお願い聞いてくれる?』

菅「何何?」




茜『.....私と付き合ってくれませんか?』



またゆっかーは黙り込んでしまう。


ゆっかーの言葉が嬉しくて調子乗って言っちゃうなんて、ほんとバカだ...



茜『あ、ごめんごめん。忘れて』



笑って誤魔化そうとするものの、お互い口を開かなくなりますます気まずい。


終わった......








菅「いいよ」


茜『へ?』

菅「お願いします」

茜『え?え?』

菅「え?そういう意味じゃないの?」


茜『いや、そういう意味で言ったつもりなんだけど...ゆっかーのことだから私がゆっかーのお願いを聞いたから嫌々言ってる...とかじゃないよね?』


菅「違うよ!あかねん!」


菅「あかねん、私もあかねんのことが好きです」




そう言ってにっこりと微笑んでくれるゆっかー。




そう、私はこの笑顔が大好き。




これからは側で見守るだけじゃなくて、支えていけたらいいな。




ずっとずっと私の隣で笑っててください。









─END─