昔々、欅王国には自惚れの強い美しい女王様がいました。
「鏡よ鏡、この世で1番美しいのは誰かしら?」
「それはアカネ様でございます」
「あら、そう?今日もいい子ね」
そう言って満足そうに微笑むのはこの欅王国の女王様のアカネ。
アカネは自分がこの世界で1番美しいと信じていた。
そんなある日
いつものように鏡に向かってアカネはいつものようにこう問いかけた。
「鏡よ鏡、この世で1番美しいのは誰かしら?」
「...」
「ちょっと、どうしたの?いつものように私じゃないの?」
「それは...り」
「り?」
「この世で最も美しいのは...り、りか姫様でございます」
「りか姫!?それは一体どこの誰なの!?」
「それはそれは雪のように透き通った美しさで...」
ガッ_...
アカネは怒りにまかせて鏡を壁から落としてしまいました。
「.....っ私が一番美しいのよ...」
怒りが収まらないアカネは使用人のリナを呼びつけた。リナは使用人であり魔女でもある。
「リナ、よくお聞き」
「はい、アカネ様」
「りか姫を殺してほしいの」
「.....ッ殺すのでございますか?」
「ええ、そうよ」
「.....ッかしこまり...ました」
〜リナside〜
私はあれから街に出て“りか姫”という名だけを頼りに懸命に探し、ついに見つけ出した。
タタタタタッ...ドテッ_
「いたーーーーーーい」
独特な走り方で走ったあと、勢いのあまり転んでぺちゃんと座り込む女性。
あれが...姫?それもアカネ様に勝るという...
にわかには信じ難い光景を目にした私は戸惑った。
「お花さん...ごめんね...あ!リスさん!こんにちは」
その女性は自分が転んで折ってしまった花に向かって謝った後、近くにいたリスに挨拶をした。
「.......っ」
前言撤回
動物と戯れ、穏やかに微笑むりか姫を見た私は心を奪われてしまった。
私にあの娘を殺すことはできない....
でも、殺さなければ私が殺されてしまう...
「っよし...」
私は呪いをかけたリンゴを手に近づいた。
「り、りか姫ですか?」
「え、姫?...えっと私はりかだけど...」
「りか姫にずっとお会いしたかったのです」
「私に?人違いか何かじゃないですか?」
「いえ、あの、これ、よかったら...」
「りんご!好きなんです!ありがとうございます」
そう言って私の目の前でりんごを1口齧るりか姫。
私は思わずぎゅっと目を瞑った。
恐る恐る目を開けると目の前にりか姫の姿はなかった。
あぁ、成功してしまったのか...
自分の命が惜しいがために美しい娘をこんな姿に...
私は最低だ。
〜アカネside〜
次の日、リナから報告を受けた私は軽快な足取りで鏡に問いかけた。
「鏡よ鏡、この世で1番美しいのは誰かしら?」
「そ、それは...りか姫でございます...」
「な、なんですって!?だってりか姫はもう...」
どういうこと?りか姫が生きているですって?
リナは嘘をついているってこと?
確かにあの日からリナは私のところを訪れてこない。
「私がやるしかないのね...」
私はリナが大切に保管している瓶を取り出した。
確か、これが...
いつの日かリナと話したことを思い出す。
「アカネ様、これは怖い毒なのでごさいます」
「何でなの?」
「解毒剤がないのでごさいます」
「まぁ、それは大変ね」
「でも、一つだけ方法があるのでございます。それは...」
その方法までは思い出せなかったけど、大変な毒だってことは思い出せた。
私はリンゴにその毒を注入し、籠に入れて城を出た。
ふふふっ、これで私が1番美しく...
森の中を歩いていると、リスを膝の上に乗せ、その小さな頭を撫でている娘の姿を見つけた。
あれが...
まぁ、確かに結構可愛いわね
私ほどじゃないけど
「あの、りか姫ですか?」
『は、はい...アナタは?』
「あ、私?私のことはいいから...」
私のこと知られちゃったら後々大変じゃない。
なんとか誤魔化せたかしら...?
「リンゴはお好き?」
『好きです!』
「それはよかったわ!」
私はりか姫にリンゴを差し出した。
ふふふ.....
『わぁ、りんごだぁ!貰っちゃっていいんですか?』
「もちろん!」
『ありがとうございます!いただきます!』
小さな口で可愛らしく1口齧った後、苦しそうに胸を押さえ出したりか姫。
私は思わず口元が緩んだ。
『っはっ.....何これ.....っ』
ドサッ__...
そのままりか姫は倒れてしまった。
それを見届けた私はそそくさとその場から立ち去った。
それからしばらくしてりか姫の様子が気になったアカネは再び森に向かった。
パカラッパカラッ_...
近くで馬の足音が聞こえた。
何故こんなとこで...?
そう思っているとりか姫が倒れている横でその馬が止まった。
美しい顔立ちの青年が馬から降り立ち、倒れているりか姫のそばにしゃがみこんだ。
そしてその青年はすい寄せられるようにしてりか姫に唇を重ねた。
見ていた私は恥ずかしくなり目をそらす。
そして、もう一度視線を戻すとりか姫か起き上がっていた。
『私は...』
「すまない、あまりにも美しかったので思わず...」
『いえ...』
「僕の名前は織田セバスチャン、アナタは?」
『私の名前はりか...』
「アナタは...あのりか姫様!?」
『アナタは私を救ってくださった、お礼になんでもするわ』
「...あの...りか姫様...僕と結婚してくれませんか?」
『...はい!喜んで』
りか姫がそう言うと織田セバスチャンはりか姫を抱き寄せ、2人はもう一度唇を重ね合わせた。
なんで...そんなバカな...
そのときふとあの時のリナとの会話の続きを思い出した。
「でも、一つだけ方法があるのでございます。...それは...愛でございます」
「あ...い...?」
「...はい、何かしらの形で愛が与えられると毒の効果はなくなるのでございます」
そんな.....
それから反省した私は今までの行動を改めようとりか姫に謝りに行った。
心の優しいりか姫は『おかげでセバスチャンくんと出会うことができたから』と言って許してくれた。
その日から私は人を見下すのをやめ、自分がこの世で1番美しいと思うのもやめた。
掃除をしていた時ふと目に入った鏡に久しぶりに冗談半分で問いかけてみた。
「鏡よ鏡、この世で1番美しいのは誰かしら?」
「それは女王様でございます」
「女王様...?」
「アカネ様、あなたでございます」
「え?何故なの?」
「それは、アカネ様から内面の美しさも感じたからでございますよ」
数分前、アカネは以前わざと鏡を落としてしまったことにごめんと謝りながらテープで補強したあと、綺麗に拭いていたのでした。
☆オマケ☆
「え!りか姫じゃなかったのでございますか?」
「ええ、そうよ。あなたが呪いをかけたのは街の娘のりか」
「ええっと...」
あれから久しぶりに私のもとを訪れたリナと話しているうちにリナが呪いをかけたのがりか姫ではなかったことが判明した。
多分、街の人は姫のように可愛がっていたのだろう。
りか姫という名になんの疑問も抱かずにりかのことをリナに教えたのであろう。
その頃、りか姫は...
リンゴを食べる前に出会ったリスに再び出会えたのであった。
『リスさん...無事でよかった...』
優しくそのリスを抱きしめるとそのリスは光を放った。
『え?どういうこと...?』
腕の中のリスはいなくなっている代わりに目の前に小柄な女性が立っていた。
「元に戻った!魔法が解けたみたいです!ありがとうございます!」
『アナタは...?』
「私の名前はりかです、アナタは?」
『私も...りかです』
「偶然ですね!助けてくださりありがとうございました!」
りか姫の“愛”のおかげでりかの呪いも解けましたとさ。
今日も平和な欅王国です。
─END─
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Y&Aさんからのリクエストでした!
リクエストありがとうございました☺️
おとぎ欅シリーズは始めたものの今後どうしようかと考えていたのでリクエストしていただいて助かりました(笑)
白雪姫がメインのはずが女王様がメインのようになってしまうという...
あと、今になって気付きましたが、小人が登場してませんでした😅
色々おかしな点はありますが見逃してください🙇
このリクエストの前にもう1ついただいていたリクエストがあったのですが、何話かに分かれるためこちらを先に投稿させていただきました。
お待たせさせてしまいすみません🙇💦
もも🍑