リクライニングベッドの背もたれが無いと無理だったが
起きて座った状態で
新聞を読んだり
スポーツドリンクを飲んだり
テレビを観たり
明らかに昨日より元気そう♪♪
酸素マスクを着けたままで
呼吸は苦しそうだったが
声はしっかり出ていた。
この状態で覚悟しろと言われても…
「昨日はね、良く寝れたよ!
いやぁ〜あの時病院に来なかったら
今頃もうダメだったよ…」
「その割には
病院行くのめっちゃ拒否したけど?」
「病院で何時間も待たされるの分かってたから。
自分でも何してるか分からなくて
とてもしんどくて…
電話かけたくても
かけ方分からなくなっちゃって。
出ることも出来なくて。
誰かに呼ばれてるのは分かったんだけど、体が動かなくて…」
意識朦朧としていても
その時の記憶はあったようだ。
「最近急に食べれなくなって
10キロ痩せたんだよ。
その事を先生に話したんだけど
何もしてくれなくて…」
私から電話してなかったのも悪いけど
父から電話してくれたら良かったのに。
体調悪いって。
しんどいって。
不安なんだって。
本当に頑固。
でも弱虫。
涙もろい。
父もまさかこんな事になるとは
思ってなかったんだよね。
でもずっと
「連絡が無いって事は
元気な証拠だと思ってくれ」
と言われてたから。
執拗に私から電話するのも
嫌がったから…
あえて責めることは
しなかったけど。
父らしいなぁ…
とも思ったけど。
糖尿病と高血圧も患っていて
食事制限をしていた父は
グルメ番組を観るのが好きだった。
病室でも
ちょうどグルメ番組が流れていた。
「美味しそう…」
「早く元気になって
美味しいもの食べようね!」
少し微笑んで
父は黙って頷いた。
話し疲れたのか
ウトウトし始めた父。
「眠かったら寝ていいよ。
ずっとそばにいるから。」
安心したように目を瞑る。
物音でビクッと目を開ける時もあったが、
それから口を開く事はなかった…