犬が死んだ。
1年前くらいから寝てばかりいたし、もう15歳なので人には「半分あの世です」とよく話していた。
老衰というのは、苦しまずにポックリというか、お爺ちゃんが寝たまま起きて来ないみたいなイメージだったんだけど、
内臓の機能も衰えるので、最後は尿毒症になって苦しんだ。
延命はもともとしないつもりでいたし、
毎回病院で数万かかるのも負担になるし、
どうみても衰えているのに、血液検査とか、肛門に体温計挿したり、食欲も無いのに大量に出される薬とか、あまり意味の無い行為に思えてしまった。
お医者さんはいい方で一所懸命してくれたけど、
「延命はしないし、無駄な治療は要りません」と感じ悪く伝えた時もあった。
割り切って安楽死させる事が出来るかと思っていたけれど、
病院に行って点滴を打つと半日くらい苦しまなかったりして、
結果的には自然死になった。
最後の一ヶ月位は、一日に何回かは苦しそうな時間があったんだけど、
床ずれしないように体の向きを変えたり、体を撫でたりすると、楽そうになって眠ったり、ずっとそんな毎日だった。
最後の晩は久々によく吠えた。苦しそうだった。
もう可愛そうで、夜が明けたら、病院に行って楽にしようと決めた。
朝7時半にソファーに移って寝そべって腹の上に乗せたら、鳴きやんだ。自分も漫画を読み始めて病院が始まるのを待った。
30分くらいして、口で呼吸をしているのがわかった。
しばらくしたら、痙攣というかビーンていう感じで全身が伸びて、それが3回続いた。その感覚が直接体に伝わった。
ひょっとしてと思って妻を起こして「ミミちゃん死んだかも」って、
二人で体触ったら、心臓は動いていなかった。
時計を見たら2015年5月10日朝8時13分。
死ぬ瞬間の生き物と触れ合っていたのは、生まれて初めてなので、ショッキングだった。そして大声で泣いた。
すぐ花を買いに行った。
死に顔も可愛くて、眠っているようだった。
何回も匂いを嗅いで、話しかけた。
最後苦しんだのは申し訳ない事をしたと思っている。
でも人間と違って死に対する恐怖が無いから、本人はそんなに大した事無かったのかもしれない。
ペットショップではもう買わないけど、
ミミちゃんは可愛いだけで、ズボラな自分にチャンと面倒見させた位なので、子犬の時はそれはもう可愛かった。
だから自分はペットショップの存在も完全否定は出来ない。
今年はゴールデンウィークもたっぷり休んで毎日一緒にいれたし、
死んだのも日曜の朝で、その日は一日長かった。
毛も着くし、バカだし、面倒臭いし、拾い食いもやめない。
ヘタレでアトピー、目が出ていて飼主に似ていた。
愛される為に生まれてきたミミちゃん さようなら。
遠藤康志