ずいぶん前の話。
空き診察室の片隅で持ち込み作業をしていた時のこと。
入院準備待ちの患者さんを乗せたストレッチャーが入って来ました。
背を向けて作業しているし、特に問題もないのでそのまま黙々と作業を続ける儂。
ストレッチャーの置かれた後ろからは、
男性1名と女性1名の声が聞こえています。
ずっと。
聞こえています。
??
ずっと喋っているのは男性の声だけで、
女性は僅かに相槌を打っている程度な感じ。
ふと振り返ってみて、
ぶわっ!
と胸が熱くなった。
老夫婦の男性側が、
ストレッチャーに乗った女性の手を握り、顔を至近距離まで近付けて、
一生懸命励ましの声を掛け続けているの。
ずっと。
ご婦人の方は、弱々しい笑顔で頷いてる。
一瞬でウルッと目頭に来てしまった。
やばいやばい。
このままここにいたら(背を向けたままでも)泣いてしまう。
それくらい、美しすぎる夫婦愛を見てしまった。
何の病名で入院されるのかは知らないけれど、
早く良くなってご主人を安心させてあげてね。
心から祈ってしまう出来事でした。