Department of Health Services
通称「ヘルス」 日本でいえば保健所のことだろうか。
ときどき、レストランに対する抜き打ちの立ち入り検査をするのが仕事である。
余談であるが、
昨日、ヘルスが来てさー、やられちゃったよね。
などと店で話していると、在米新入りの日本人男性は、ビビるらしい。
ヾ( `▽)ゞ
こちらでヘルスといえば、やってくるのはたいがい女性だが、色気もそっけもない、コワいおばさんであることが多い。
年に数度、忘れたころに突然現れる。(((゜д゜;)))
日本食レストランでは、暗号ならぬ日本語が使えるので、
店の入り口に立つ、ヘルス係官の姿を目ざとく見つけると、マネージャーはあわてず、ふつうの会話のようなふりをして、
保健所来ましたよー。
片付けてくださいねー。(*^ー^)ノ
と、日本語で言って回る。(^_^;)
その間にも、彼らは100以上もあるんじゃないかと思われる項目をチェックし、良くない点、改善しなければならない箇所を指摘し、
数日後戻ってきて、改善されたかどうかチェックする。
その後、ロスアンゼルスでは、こんな証明書が発行される。
ロスアンゼルスカウンティーの例であるが、
彼らが作った基準の90%以上を達成していたら A
80-89パーセントで B
70-79パーセントが C
それ以下は、数字が記載される。
これは、レストランの入り口のよく見える場所に掲示しなければならないというルールがある。
客が、主に衛生面で、レストランを選ぶときの基準とされる。
経験からいって、Aランクのレストランだからというのが、そこで食事をするかどうかの決め手にはならないが、
Cあるいは、それ以下のレストランは、ちょっと食べる気がしない。
というのも、そのレストランが衛生局の基準を満たしているかどうか、ということよりもむしろ、その店の、食品を扱うことに対する根本的な考え方がいい加減なのではないか、と思うからだ。
高級レストランだったら、Aをもらわないと恥ずかしくて営業できない。店の沽券にかかわる。
もし、Bをつけているレストランを見つけても、どこか問題があったのかもしれなが、それ以上に係官の虫の居所が悪かったのだろう、と思うくらいである。
Cもしくは、「67」などと点数をもらってしまった場合、こっそりと、サインの影や見えにくいところに貼られていることが多い。あるレストラン関係者は、
A、B、Cの意味は客も知っているが、数字だとわけがわからない。Cをもらうよりは、むしろその下のレイティングの数字の方がいい┐( ̄ヘ ̄)┌
などと公言していた。この人の店には、行きたくない。
だいたい、毎日、自分たちの常識の範囲内の衛生観念で仕事をしていれば、ヘルスがやってきても、それほど深刻な事態にはならないし、次回彼らが戻ってくるまでにすることはといえば、店の大掃除をすることくらいだ。
それより問題なのは、衛生局から派遣される係官の常識の方だ。(-_-メ
レストランビジネスや、食品についての知識が、恐ろしくダメな人がたまにいる。
そして、彼らの意志は全くといっていいほど徹底されてなく、
前回の担当官に指摘され改善した箇所を、新しい係官に、これではダメ、と言われ、元にもどしたり
担当が替われば言うことも変わる、というのが業界の常識。
ずっとAを維持してきたレストランが突然Bに落ちたとき、運が悪かったのだろう、ぐらいに受け止めてしまう所以である。
そして、日本食レストランは、特殊な場所である。生まれてこのかたスシなんて一度も食べたことがない、なんていう検査官が送り込まれてきた日には、目も当てられない。
彼らは、刺身用の魚の温度を測るのに、ぶっとい温度計を、なんのためらいもなく本マグロのサクにずぶずぶと刺す。((>д<))
元メインの職場にヘルスが来たとき、彼女は、真剣な顔をして蒸しエビの温度を測っていた。
不審に思った元ボスが、彼女の持っていたマニュアルを覗き見したところ、
サーモンの温度を測る。(サーモンとはオレンジと白のしましまの…)
と、書かれていたそう。彼女は、サーモンだと思いエビの温度を測っていたらしい。(-"-;A
それでも、昔に比べれば日本食に対する理解は、格段に深まっているのだろう。
スシがアメリカで流行り始めたころ、スシシェフは、ゴム手袋をはめてスシを握らされた
というのは有名な話。
酢飯にしても、炊いたご飯を保温もせずそのまま置くのはよくない。冷蔵庫にしまえ。
と、言われていたそうだが、今では、酢の殺菌効果なども理解され、酢飯を作った時間をスシバーに貼っておくだけでよくなった。
そして、やはり田舎よりも都会の方が、理解度が高い。
ニューオリンズは、いまだに、
野菜のスシロールと魚を使ったスシロールは、別のまな板の上で作れ
などと言う、ヘルスがやってくる町なのだ。orz
