ペットとの共生推進協議会が主催する子供の動物介在教育のシンポジウムに参加してきました。

 

私は小さい頃から犬や小鳥、ウサギ、カメを飼っていたので、動物が身近にいるのは当たり前の環境でしたが、直近のデータによると今まで動物を飼ったことがある人が34.8%しかいないそうです。

 

都心ではマンション住まいの人が多く、犬や猫が飼えない環境でしょうが、それにしてもこんなに少ないとは驚きました。

 

離婚してすぐに犬を飼い始めました。子供が5歳の時です。

 

離婚で引越をし、幼稚園から保育園に代わり、それに専業主婦でずっと家にいた母親が仕事で家にいなくなる、一人っ子の息子にはそれまでの環境がガラリと変わってしまうわけです。 少しでも彼の寂しさをなくそうと思って飼いました。

 

ある友人から「これから自分たちが生活していくのが大変なのに、犬なんか飼っている場合じゃないでしょ」と言われたけど、私は犬がどれだけ心の支えになってくれるか知っていました。

 

日本では子供の自殺がトップクラスです。

 

東京では「寂しい」と感じる10歳の子は22.3%もいるそうです。その子供たちは2年後には36.3%も「生きていてもしょうがない」と思うようになります。12歳で「生きていてもしょうがない」と思うようになるなんて。

 

シンポジウムでは動物を飼った経験があると、社会性の問題や引きこもりが少ないということも言われました。動物とのスキンシップでは、幸せホルモン(オキシトシン)が出るのは科学的にも証明されていますよね。

 

それだけではなく犬と散歩をしていると、子供たちがよく声をかけてきます。息子も犬を散歩に連れて行くと友達が寄ってきたそうです。それで自然と友達との交流も増えました。

 

今は家の中で飼っている人が多くなりました。それに伴い家族の一員と感じる人が増えてきました。いつも側にいると、目や表情、しぐさで感情が分かってきます。気持ちが通じ合うほど可愛くなってきます。どんどん絆が深まり、より愛情が湧いてくるんです。

子供たちはたとえ相手が人間ではなく動物だとしても、ありのままの自分が受け入れられた経験を持つことによって、自己肯定感が持てるそうです。

 

でも動物と触れ合うだけ、ただ飼っているだけではダメ。動物との絆が重要です。世話を通じて言葉が通じない相手の気持ちを知るために、よく相手を見て何を考えているのか考えることが大切です。

 

動物にも感情があります。いきなり身体を触ってフゥーと怒られれば「今はソッとしてほしかったんだな」と気づきますよね。そうやって子供たちも相手のことを考え、思いやりが生まれてくるんです。経験から学びます。

 

それにもう一つ。

 

このシンポジウムでは、大人の態度が大事だと言ってました。

 

「子供は大人を見ている」

 

動物を飼った経験がないまま大人になり、言葉の通じない赤ちゃんを育てるのが初めてなら誰でも戸惑いますよね。経験したことがないのは大人でも不安です。でも大人は知識からでも学べます。だから、こういうシンポジウムから知識を得ることも必要なんです。

 

ペットロスの話もありました。

動物は人間よりも命が短く、多くは先に死を迎えます。そのときには子供と一緒に悲しんでください。

 

愛情を注いだペットの死と向き合い、その悲しみを乗り越える。それも大切な経験。子供が悲しむのが可哀想だからと、死を見せないというのは子供の気持ちを抑え込んでしまうことだそうです。

 

住まいや環境の問題で、犬や猫を飼えない人が多いでしょう。そういうときは金魚や小鳥、虫を飼うことでも子供にとって良い効果があるとそうです。植物でもOK。生きてますから。

 

それに立教女学院小学校(東京・杉並区)には、毎日先生と一緒に登校する「学校犬」がいます。東京学芸大附属小学校では、定期的に犬が学校に訪問する体験学習という試みも始まっています。

 

アレルギーや事故のことを心配して反対する親がいたと聞きました。動物を飼った経験がない人が不安に思う気持ちも分かります。でも子供が動物から得られる大きな贈り物を最初から排除しないでください。

 

科学重視、経済重視で、今までは無機質なものが周りにはたくさんあります。でも本来は自然の中で動物や植物などが当たり前にいる生活で、五感をフルに使うことが見直されているんでしょうね。

 

以前のこんなブログも書きました。

 →『五感を使わないと子供の成績が低迷』