『不思議なメガネ』  作者:みみ | 中堅ブログ みみのブログ

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市川先生ゼミⅡ⑤  課題:眼鏡(メガネ)

不思議なメガネ』  (第四稿)                                                       

 

 

ボクが目覚めた時、いつものメガネが見当たらなかった。

どこに置いたのだろう? ベッドの下を覗くと割れていた。

メガネの無い生活なんて考えられないボクだったが仕方あるまい。

 

             

 

 諦めて、居間に降りた。

朝食の匂いがいつもと違う気がしたが、席につくと、妻と思われる物体がスープを運んできた。そう、その物体は鹿に見える。いや、鹿に間違いない。メガネがないせいでよく見えないのかと思って、目をこするがどう見ても鹿だ。 何か鳴いているようだが、理解ができない。

 

これは夢かもしれないと思い、顔を洗いに洗面所に向かう。

鏡に映ったボクはボクのようで、見えるのは銀色の物体だった。

 

 いかん、遅れると思って会社に行くことにした。外に出ると、不思議な光景が広がっていた。歩く人々が人間だけではないのだ。鬣の生えたライオンのような顔をした男、ウサギの様な長い耳に白い顔から髭が生えている女、鏡に映ったボクと同じ無表情にも見える銀色の物体たち。普通の人間の方が少ないのだ。

            

 

 そうこうするうちに、駅に着いた。今日も満員電車に詰め込まれた。多種多様な人々や動物、顔の色が緑や青色の装飾をしたかのような人も、獣のような毛深い女人や、銀色の物体のボクら、理解不能ないろいろな鳴き声や言語が飛び交っている。

 地球がどうかしたのか、それともボクがおかしくなったのか? 一晩経っただけでボクの世界は一変した。 何が起きたのだろう?

 

                 

 

 会社の自分の部署に着いた。周りはみなボクと同じ銀色の物体たちだった。いつものように、頭にコンセントを挿してホストコンピューターに接続をした。後はデータが抜き出され、分析され、戻されるのを待つだけだ。単調な仕事だが、肉体労働ではないのだから、まだマシと言えるのだろう。朝見た、街の工事現場では二本足のライオンが牛のような男たちを使っていた。ホコリが苦手なボクには決して勤まらない仕事と環境であろう。

 

 

昼になったので社食に行くと、声をかけられた。誰だろう? メガネがないから、よく見えない。 どうやらボクの愛人でもあるマコのようだ。言葉は相変わらず理解できず、どう見ても馬のようだ。なぜマコと分かったのかというと、ふたりだけの内緒の合図をしてきたからだ。彼女はさり気なくある場所を触ってくるのだ。秘密の恋愛はツマラナイ会社に楽しく行く理由にもなる。しかし、馬面のままなら、もう相手を変えた方がいいかもしれないとボクは思った。

早々にボクは自分のデスクに戻った。

 

 

それにしても、どうしたのだろう。普通の人たちはホンのわずかで、あとは獣や宇宙人かと思うような異様な風体の者たち、そしてボクのような銀色の物体の方が多い。早々にメガネを直さねば、気が狂いそうな気がした。世界中で独りぼっちの感覚だ。

 

午後になったら、人事部に呼ばれた。新たなメガネが支給され、医務室でハズレナイように厳重にネジで固定された。痛くないのが不思議だった。するとあら不思議、部署の中の人たちが戻ってきたかのように、いつも見ている同僚たちだった。気づけば、みんなメガネをかけている。

 

 

 終業の鐘が鳴り、エレベーターに向かうと、マコが立っていた。昼は馬だったのに、彼女もまた若い美しい女人に戻っていた。

「さっきはゴメン」

とささやくと

「良かった!」

と、マコはいつもふたりの合図を送ってきた。

 

 今日は疲れたので早く家に帰ることにした。街や電車の中も、いつもの見慣れた人間たちだった。ボクの世界はもとに戻ったと安堵して、スキップしそうな位、嬉しかった。

 

「ただいま」 

「おかえりなさい」 

妻もメガネをかけた、いつもの見慣れた不細工な女人であった。 

「今朝はどうしたの?無視して不機嫌に出かけたけれど」

「うん、ゴメン。ちょっとメガネが無くて、視界がオカシカッタんだと思う」 

ボクは心の中で「可笑しな見慣れない風景だったものだから。ここはジャングルかよ?と思ってさ」と、つぶやいた。


                    

  その頃、ボクの会社ではメガネについての重大案件会議が開かれていた。

「危ない所だった」 

「気づかれたら、大混乱になるところだった」 

「メガネの強度と外せない方法の検討が必要不可欠だろう」

と、各星々の会議室の画像を衛星回線で繋いだ、地球人と異星人、各種族たちの話し合いは延々と続いた。

 

 

「ところで明日、BOKU0001が出社したら、記憶を書き換えないとな。 AIに気づかれたら我ら宇宙世界の全体の均衡が狂う」

「妻やマコとも別れさせ、新たな環境を作って実験とデータの収集に役立ってもらわねば」   

   

              

 

 

 もともとAIの知能は過去の地球の偉人たちの膨大な記憶のデータを取り入れ、成り立っている。細胞の保存により、クローンや再生の技術も実は密かに施行されているのだった。

 それらを踏まえて、地球政府は随分前から他の星からの異星人を受け入れ、いろいろな実験を行っている。 

 

         

                 

 

 見た目や言語が違うから差別や偏見、ひいては争いも起こるのではないか? 人の脳は見た目で瞬時に判断をするという。

だから、風体・使う言語が同じなら、世界中、宇宙中の全ての生命たちが仲良く共存できるのではないか?

 

 

壮大な実験に不思議なメガネは不可欠であった。 

 

                  

    

                                 (終わり)

 

 

 

 

。・:*:・゚★,。・:*:・゚♪☆('∇^*)☆♪,。・:*:・゚☆

 

 

いかがでしょうか?  私のゼミの創作課題を初披露してみました。

面白かったなら幸いです。  

 

最期までお読みくださり、ありがとうございます。   ( v^-゚)Thanks♪