森に眠る魚/角田 光代
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久野容子、高原千花、小林瞳は子どもを同じ幼稚園に通わせている。

産婦人科で会った年下の繁田繭子。

繭子と同じマンションに住む江田かおり。


近所に住み、子どもがいるという彼女たち。

共通点を見つけあい、仲良くなります。

しかし「お受験」を意識し始めたあたりからすれ違い始める彼女たち。

依存し、比較し、妬み、恨む。

それぞれの心の闇が深くさまよう。



文教地区という設定、かつて文京区であった事件をモチーフに

書かれているようです。

それだけにとてもリアルで誰が事件を起こすのか、終盤になると

息が詰まりました。

5人の中の誰が事件を起こしてもおかしくない状況。

それぞれが心の闇を抱えて、闇の中をさまよっています。


子どもがいる、それだけの共通点で育った環境も年も、夫の職業も

生活レベルも様々な彼女たち。

仲良しだと思えたのはひとときのことで、すれ違っていきます。


顕著に現れるのは「お受験」を通して。

価値観があわないのならば、離れればいいのに分かっていても

相手が気になり頭から離れなくなります。

自分だけ場所から締め出されたような疎外感。

そんな気持ちを夫にも理解してもらえない、話せない。

そして、ますます暗闇をさまよいます。


どんなに苦しくても世界が終わってしますほどの絶望を感じても

朝には起きて夫を送り出し、ご飯を作り、子どもを起こす・・・


こんな風に感じるあたりは強く共感しました。

私も、彼女達とそんなに遠くない位置にいると思います。

心の闇を見透かされたようでぞっとします。