ブレイブ・ストーリー(上)/宮部 みゆき
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ブレイブ・ストーリー(下)/宮部 みゆき

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*ネタバレがありますのでご注意下さい*
三谷亘(ワタル)は小学校5年生。

学校では「幽霊ビル」の噂でもちきり。

友だちのカッちゃんと夜中に幽霊ビルへ忍び込み、幽霊の正体を

確かめに行く。

幽霊ビルとは、建設途中でとまったままになっているビルだ。


ワタルの家では、父が急に他の女性の元へ出て行くことになる。

父を信頼していたワタルはとても傷つく。

父の恋人は妊娠しており、母とつかみ合いのケンカを目の前でしたり。

そして母は、ワタルを道連れにしようと・・・


「”運命の塔”の女神様が願いを叶えてくれる」

転校生のミツルに教えてもらう。

「自分の運命をただすんだ」

決意の元に、幽霊ビルのなかにある「要御扉」をくぐる。


ワタルは幻界<ヴィジョン>へ行き旅人になる。

幻界のなかはまるでRPG(ロールプレイングゲーム)そのもの。

「勇者の剣」にあう5つの玉を探し出し、女神様のいる運命の塔への

道を切り開く。


トカゲ男やネコ耳の女の子と旅をしたり、ドラゴンにのったりして

長い旅を続ける・・・



久しぶりに読む長編小説。

(読むのも時間がかかるけれど、レビューを書くのも時間がかかるなぁ)

とても現実的な、家での問題・学校や友だちの話から、ファンタジーの世界まで

本当に読み応えがありました。


<幻界>は旅人の心を映して世界を変える。

幻界で起こっている問題は、ワタルの心にも存在する問題である。

憎しみや妬み、破壊・・・

心は善だけでは成り立たなく、悪もある。

自分の心の中の醜い部分それを見つめながら、認めながらその自分の

世界を旅しなくてはならない。

幻界でも南北に国家が出来、種族間の差別や偏見がある。

子どものワタルには辛い旅。


それでも現世の母や伯父に似た仲間が、親身になり旅を助けてくれる。

これもワタルの心をうつしているから・・・


そして女神様にたどり着けても、願いを叶えてくれるのはたった一つ。

自分の現世の幸せか、幻界の世界の幸せなのか・・・

自分の幸せか、仲間の幸せか・・・

迷いながら、悩みながら、答えをみつけます。


それは自分だけが、自分の運命を変えられるという事。

間違いを繰り返しても、引き返し、考えて、懸命に道を切り開いて

いかねばならない。

自分が切り開いていかねば同じ事を繰り返すだけだ。

そのためには、未来がほしい。

女神様に運命を変えてもらっても、それはひととき限りのものに

なってしまう。


小学生のワタルがだした答えはとても深いです。

運命と言う言葉で安易に流したり、諦めたりしますがやはり自分で

切り開いていくのが、『自分の運命』なのだと改めて考えました。

とても考えさせられる、心に突き刺さる小説でした。