ウシャルの実と種   ソドムのリンゴ・ウシャル4


結実すると、一旦は潤いを伴った肉質となり、日を追って成長する。そして緑色の外皮は産毛のような白い毛を一面に生やし、長楕円の卵形に成熟する。この形がソドムのリンゴの謂れであるが、ラクダの空気嚢(shaqshaqah)とも、浮袋(nuffaakh)とも方名で呼ばれている。

 

 

   図7 ウシャルの実の種 この段階ではまだ成熟しておらず、向かって左が本来の姿、   

       右は中を切り裂いて見せている。中央から根元の方にかけて成熟した種が冠毛

       を備え始めている。 

 

 一か所縦に深い亀裂が走り、種の詰まった肉質となる。15~20センチにもなるが成熟後、次第に乾燥が始まり、綿状の種と白く長い繊維が換毛として残る。果皮はそのまま維持されるため、中がスカスカのスポンジ状態になる。ソドムのリンゴと呼ばれるのも、成熟後全く重みが無く、空虚とされるため、「熟することが無く」、果肉は「灰の塊である」と信じられて。この名を持つことになった。
未だ若いうちの実はラクダも山羊も食草とする。

 

種は成熟前は密集して潤いのある白色をしているが、成熟に伴い外側から換毛を生やし、種自体も黄色から黒に変色する。成熟すると種と冠毛とからなり、水分は無くなる。冠毛は綿毛のようで、次第に長くなり綺麗な絹状を呈する。このため成熟した実は大きく膨らんではいるが、中はフカフカの軽いものとなっている。これが言う所の空虚さ、中身の欠如する「ソドムの実」なのである。最終的には外皮が割れて、種が冠毛を伴って飛び散って行く。

 

図8 成熟しきって、果皮が割れ、絹に似た冠毛付きの種がこれから飛散しようとしているところ。

 

図9は一個の冠毛付き種、ほぼ実物大。

 

これらは綿毛同様、布団、枕などのクッションに最適で、その中身として利用されていた。