出版されたのが2016年秋。
初めて手に取って読んでみた。
12代團十郎と希実子夫人が結婚したときは、
堀越家の両親はすでに亡く、
團十郎さんと二人で、番頭さんたちに教えを受けながら、
堀越家を作り上げていったということだ。
その経緯については、さらっとしか書かれていないが、
想像を絶する大変さだったと推察する。
自分が姑から習うことがなかったから、
自分は、嫁の真央さんに伝えたい、
そのためにもこの本を書いたという記述があったが、
その真央さんも亡くなり、
何ともやるせない気がする。

團十郎さんや、海老蔵さん、ぼたんさんが好きな料理のレシピは、
とっても面白い。
豪華な食材を使ったものは、ちょっと真似できないけれど、
缶詰めや庶民的な材料がこんなに美味しく食べられるというのもとっても素敵。

希実子夫人の竹を割ったような清々しさが意外だった。
この本を読んで、ちょっと印象が変わった気がする。
嫁入りに持ってきた着物は派手すぎて、という記述があったが、梨園と関係ない新興の実業家のお宅から、
お手本のないところへ嫁がれて、どんなにか大変だったか。
それを乗り越え、病気の團十郎さんを支えたのだから。
家族や贔屓の支えがあってこその歌舞伎役者。
團十郎さんが、最後までおおらかな方でいられたのは、
やっぱり、内助の功かなと。

レシピ本としても、堀越家の伝記としても、
なかなか面白い本であった。