お友達にかいた記念日なるみつ^p^
***
「夕焼けって綺麗だよね、御剣の色みたいで」
そんなことを、急に彼が口にした
いつもの如く、突然に、なんの脈絡もなく
この男は恥ずかしげもなくこういうことを口にするのだ
世の中、10年も連れ添った恋人というものは、それなりの落ち着きをもってしかるべきなのだろうが、どういったわけか、この男にはそのような兆候は一切見受けられない
それどころか、年々、いや、日に日に彼の私への愛情は大きくなっているように感じられる
(ふぅ……大したものだ)
面白い男だ
ふとそんな事を口にしても、別段、私の返答を欲しているわけでもない
顔ごと視線をずらしてみれば、そこには見事な夕日が広がっていた
この男の事務所からみる景色は、もうすでに10回も廻った
秋の澄んだ空気に広がる今日の夕日空は、格段に美しい代物だった
その美しさに、思わず笑みが零れた
そして私は、はっとする
昔は、このように空をゆっくり眺めることなどなかった
そのような余裕も、無駄な時間もなかったし、なによりも、私には必要がなかった
まして、空の色をみて笑みがこぼれるなど、ありえないことだった
(私を変えたのは、成歩堂、紛れもなく君なのだよ)
「なぁ御剣。御剣はどんな空がすき?」
「ム…
……それは重要なことなのかね」
「うーん。別に重要じゃないけど、気になるんだよね、君のことならなんでも」
「そのにやけ顔をみると、何かを期待しているようだが」
「え、そんなことないよ」
大方、“青空”とでも行って欲しいのだろう
青はこの男のイメージカラーのようなものだ
目の前のにやけ顔をみれば、いやでもわかる
(10年たっても、この男は…本当に…)
変わらないのだ
何一つ
変わったのは私ばかりだ
考え方も、生き方も、表情も、心も体も
なにもかも、この男によって変られてしまった
しかし、それは決して不快なことではなかった
成歩堂、私は感謝しているのだよ
………口にだして言ってなど、やらないがな
「いててててて」
私はその緩んだ顔を指でつついてやった
「君の考えは見え見えだが、あいにく私は日差しの強い日中はさほどすきではないのだよ」
「・・・」
そうやって、悲しいことでもすぐ顔に出すところも、変わらないのだな、君は
たかだか比喩表現だけでここまで感情的になれるこの男を、愛しく思う
そうなりたいとは思わぬが
……私には到底できぬ生き方だ
「成歩堂」
「…ん?」
「私は、太陽が好きだ」
「…?
御剣は、どっちかっていうと月とか、そういうイメージがあったけど」
「あぁ、確かに夜の方が好きだ。
しかし、朝も昼も夜も、私とっては別段大した差のあるものではないのだよ」
「でも、太陽は好きなのか?」
「うム」
「うーん」
首をかしげ、悩んでいる成歩道を横目に、私は冷めてしまった紅茶を飲み干す
この男といると、時間などいくらあっても足りやしないのだ
そう、10年という歳月ですら、それに値する
「よく考えてみることだ」
「えー、なんだよ、それ!」
頭のいいくせにたまにこうなる
だから面白い
いつもこの男のペースに乗ると思ったら大間違いだ
必死に考える成歩堂は、百面相をしているようだ
たまにはこんな時間もいいだろう
もう10年なのだ
きっと、この先の10年後も、私の隣には君がいる
そう、変わらない君のままで
そして、そこにいる私は更に君色に染まっているのだろう
成歩堂
私は太陽がすきだ
君は、私にとっての太陽なのだから
私の中の闇に光を照らし、あの深い闇から私を救い出してくれた
君は、まさしく私にとっての太陽だ
今までも、これからも
あの時から、それは変わることはないだろう
「ねぇ御剣、なになに、教えてよ」
10年後にも、君が答えをわからないならば
その時は、教えてやろう
***
「夕焼けって綺麗だよね、御剣の色みたいで」
そんなことを、急に彼が口にした
いつもの如く、突然に、なんの脈絡もなく
この男は恥ずかしげもなくこういうことを口にするのだ
世の中、10年も連れ添った恋人というものは、それなりの落ち着きをもってしかるべきなのだろうが、どういったわけか、この男にはそのような兆候は一切見受けられない
それどころか、年々、いや、日に日に彼の私への愛情は大きくなっているように感じられる
(ふぅ……大したものだ)
面白い男だ
ふとそんな事を口にしても、別段、私の返答を欲しているわけでもない
顔ごと視線をずらしてみれば、そこには見事な夕日が広がっていた
この男の事務所からみる景色は、もうすでに10回も廻った
秋の澄んだ空気に広がる今日の夕日空は、格段に美しい代物だった
その美しさに、思わず笑みが零れた
そして私は、はっとする
昔は、このように空をゆっくり眺めることなどなかった
そのような余裕も、無駄な時間もなかったし、なによりも、私には必要がなかった
まして、空の色をみて笑みがこぼれるなど、ありえないことだった
(私を変えたのは、成歩堂、紛れもなく君なのだよ)
「なぁ御剣。御剣はどんな空がすき?」
「ム…
……それは重要なことなのかね」
「うーん。別に重要じゃないけど、気になるんだよね、君のことならなんでも」
「そのにやけ顔をみると、何かを期待しているようだが」
「え、そんなことないよ」
大方、“青空”とでも行って欲しいのだろう
青はこの男のイメージカラーのようなものだ
目の前のにやけ顔をみれば、いやでもわかる
(10年たっても、この男は…本当に…)
変わらないのだ
何一つ
変わったのは私ばかりだ
考え方も、生き方も、表情も、心も体も
なにもかも、この男によって変られてしまった
しかし、それは決して不快なことではなかった
成歩堂、私は感謝しているのだよ
………口にだして言ってなど、やらないがな
「いててててて」
私はその緩んだ顔を指でつついてやった
「君の考えは見え見えだが、あいにく私は日差しの強い日中はさほどすきではないのだよ」
「・・・」
そうやって、悲しいことでもすぐ顔に出すところも、変わらないのだな、君は
たかだか比喩表現だけでここまで感情的になれるこの男を、愛しく思う
そうなりたいとは思わぬが
……私には到底できぬ生き方だ
「成歩堂」
「…ん?」
「私は、太陽が好きだ」
「…?
御剣は、どっちかっていうと月とか、そういうイメージがあったけど」
「あぁ、確かに夜の方が好きだ。
しかし、朝も昼も夜も、私とっては別段大した差のあるものではないのだよ」
「でも、太陽は好きなのか?」
「うム」
「うーん」
首をかしげ、悩んでいる成歩道を横目に、私は冷めてしまった紅茶を飲み干す
この男といると、時間などいくらあっても足りやしないのだ
そう、10年という歳月ですら、それに値する
「よく考えてみることだ」
「えー、なんだよ、それ!」
頭のいいくせにたまにこうなる
だから面白い
いつもこの男のペースに乗ると思ったら大間違いだ
必死に考える成歩堂は、百面相をしているようだ
たまにはこんな時間もいいだろう
もう10年なのだ
きっと、この先の10年後も、私の隣には君がいる
そう、変わらない君のままで
そして、そこにいる私は更に君色に染まっているのだろう
成歩堂
私は太陽がすきだ
君は、私にとっての太陽なのだから
私の中の闇に光を照らし、あの深い闇から私を救い出してくれた
君は、まさしく私にとっての太陽だ
今までも、これからも
あの時から、それは変わることはないだろう
「ねぇ御剣、なになに、教えてよ」
10年後にも、君が答えをわからないならば
その時は、教えてやろう