ヤンチャ「口腔外科」にいくの巻 | ぴぃちくぱぁちく

ぴぃちくぱぁちく

自閉症の子供とふたり暮らし。時間の最後尾をゆっくりゆっくり歩いています。
私達の日常の断片を、もしよければ「ききみみ頭巾」的「こみみ(こめめ?)」にはさんで頂ければうれしいです。

 

どこが どのくらい どう痛いのか

医師に正確に伝えられない 障碍者「あるある」

 

虫歯だけは 本当に気を付けなければ

一度痛い思いをしたら その後はもう 治療そのものが不可能になってしまうに等しく 

 

人力でさえ拘束などさせたくもない もちろんそんな治療はあり得ない

出来ないのなら全身麻酔を

たかが虫歯 されど虫歯 自然治癒は望めない

虫歯治療に全身麻酔 そんなリスクは 再々させられない

 

自閉症児 虫歯リスク その恐怖を 回避したいがため

 

マッチャ(叔父の歯科クリーニングや治療)・テンチャ(叔母の 同前述)に同行させ

見学させ 見せかけのまねっこクリーニングのステップを踏み

保育所時代から 歯科医院=怖くないところ=ご褒美が買ってもらえるところ

半年毎・一年毎 プラークの除去やフッ素を施してもらいにつれていった

 

昨年の2月からのコロナ禍 マッチャは帰国ならず ほぼ3回分のクリーニングをしていない

歯科院からのお誘いカードに疼く心

そんな空白の時期に 突然 「歯!」 「歯!」と奥歯を指すヤンチャ

 

あーーーれーーーーーーーーぇぇぇ キタキタキタキタ と胸の内で絶叫

 

凍り付くワタシ 昨年秋の事業所の歯科検診は「所見なし」だった あれから半年

仕上げ磨きも 一頃ほどはしていない やっちまったか

 

満を持して? いや腹をくくって?いや、お縄、遠島、…お叱り も覚悟で

障碍児者専門担当医の居る医療機関「口腔外科」の門をたたいた(予約待ち待機期間約30日)

 

ゆっくり 丁寧な口調の担当医と補助2名 &ワタシ 計4名の老若レディ見守る中 

丁寧なクリーニングと診察が始まる

 

母子手帳から現在までの経緯 障碍の判定レベル 意思の疎通 

投薬の有無 発作やてんかんの有無・・・云々かんぬん

(10:10に入ったHPを出たのは13:10頃だった)

 

他に気になることはありますか

長い長い時間をかけ丁寧にゆっくり休みを入れながら

ピカピカに磨かれてプラークの落ちた歯はさぞ気持ちよかろう・・・

 

先生 これまで幾度か挑戦したのですが どうしてもうまくいかなくて

歯科のレントゲンまだ一枚も撮ってないのです

親知らずの状態も気になりますし 出来れば今の段階で一度

状態を見て頂きたいのですが・・・ おずおずとまだ足りぬを主張してみる

 

「ああそうですね いいですよ ダメもとで試してみましょう

これまでの経験が良かったのですね

今のコンディションなら うまくいくかもしれませんよ これだけ辛抱できれば

とても診察しやすいお子さんですから 一般医院でも十分口腔ケア継続できます

今回は私(先生)も一緒に入ってみましょう」と言ってくださいました

 

この時点でうるうるなワタシ

でもきっとまた首を動かしてしまうのだろうな と 今迄みたいに 

決してジッとしてはくれない 9割諦めも持ちつつ

 

レントゲン室の中から「そうそう すごーい!!」の声 

ワタシの心臓は今にも口から飛び出して Cルイスかジョイナー(※昔ですいません)並みに

駆け出していきそうなほど高潮 思わずのガッツポーズ

 

「できましたよお母さん 彼 頑張りました。」

 

先生が神様に見えましたもん あえて治療のしにくい 時間と手間のかかる子供に

その子の適正に合わせて 目配り気配りしながら最善を尽くして下さる 

こういう先生がいて めぐり合わせてもらえた幸せをかみしめて

 

虫歯にさせないぞって 改めて自分に誓う母でありました

 

フッ素塗ってるから30分は飲食しないでね 「はい(ヤンチャ)」

 

90分後には大好物のチョコアイスをかぶりついているヤンチャでございました

 

幾度か挫折を経験して やがて出来ないと決めつけて 諦めが先に立つようになりがちです

けれど自閉症は成長を期待できる障碍です 常に可能性と前進が望める障碍なんですよ

そう教えて下さったかつての作業療法の恩師の声が春風と一緒に

優しくそっと背中を押してくれたような一日でした