モアオーガニックなスキンケア通販の「ぷろろ健美堂」を運営する白樺じっちゃんこと八幡です。

ぷろろの原点は「白樺樹液」です。「白樺樹液」の効用を世に広めたいという願いから出発しました。３０年ほど前、日本で水が売られるようになった頃のこと。それまで日本では「水」と「空気」と「安全」はタダといわれていました。水は水道栓を捻れば出るし、まさか水が売れるとは誰も思いませんでした。その水がコンビニなどで売れはじめたころ、対岸貿易に熱心だった生活協同組合界の大御所、新潟福対協の専務理事だった寺本由一氏が「シベリアにシラカバジュースというものがある。あれを日本にもってきて売れば健康のためにもいいのだが」といいました。私はまだ現役で、県民共済（都道府県）を全国に普及する仕事が多忙を極めていたので、馬耳東風で聞き流していました。１０年ほどした退職後に、ふと思い出して「白樺樹液」のことを調べてみたのです。驚いたことに、シベリアやフィンランドなどの北欧や東欧諸国、中国や韓国などの北方圏では、白樺のことを「森の看護婦」「聖なる樹」などと呼んで、１０００年も昔からその樹液を飲む風習があり、現在でいう成人病などの民間療法に役立てていたのです。

　　　　　　　　　　　　「へ」の字マークの白樺林

さらに調べていくと、その効果効能に興味を引かれてどんどん白樺樹液にのめり込んでいきました。日本の病院の待合室は老人であふれ、介護や医療保険制度の崩壊が叫ばれていました。欧米の老人は、リタイアしてからの人生を楽しみにし、日本のように寝たきり老人はあまりいないといわれています。もし白樺樹液が健康な老後生活に役立つなら、また医療財政の負担軽減に少しでも役立つなら、白樺樹液を普及する意義はあるのではないかと考えました。

そこで本物の白樺樹液に触れてみたくなりました。どこで売られているのか、どんな味がするのか、どのくらいの価格なのか確かめようとしたのですが情報が少なく、なかなかみつかりませんでした。そうこうしていると、軽井沢銀座のあるお店で販売されていることがわかり、埼玉県から出向いてそのお店を探し当てることができました。売られていたのはベラルーシ産の茶色がかった半透明の液体で、無添加とのことでした。さらに長野県御代田町で製造販売されている白樺樹液がみつかり、訪ねていろいろ話を聞くことができました。こちらは長野県産ではなく、東欧から原液を輸入し、自社工場でキシリトールを加えて商品化されていました。またネットでもみつけたので、さっそく取り寄せました。それを飲み比べてみたところ、それぞれみんな味が違っていたのです。無添加の樹液ではなく、いろいろな添加物で味付けされていたのです。いったいどれが本当の白樺樹液の味なのかさっぱりわかりませんでした。

ともかくシベリアから輸入しようと考え、商社などに当たっていたとき、当時のロシアのメドベーシェフ大統領が北方領土にやってきて、領土問題が大騒ぎになりました。もし将来、このような問題で輸入がストップしたら困ると考え、発想を切り替えて、北海道を電話で片っ端から当たってみたのです。すると北海道でも採取できることがわかったので、すぐ北海道へ飛びました。旭川空港からレンタカーで北に向かい、３時間余りかけて美深町仁宇布の松山農場に代表の柳生佳樹さんを訪ねたのです。柳生さんは「羊をはじめ、人がやらないことばかりやってるので苦労してますよ」といっていました。

　　　　　　　　　　　白樺樹液を商品化した柳生佳樹さん

柳生さんの羊牧場は、村上春樹の小説「羊をめぐる冒険」の舞台になっていたのでした。本業の傍ら、牧場周辺の自然林で白樺樹液を採取し、日本で初めて事業化に成功した人でした。そもそもの発端はカナダ旅行でみたメープルシロップを作りたいと、母校の北海道大学農学部に寺沢実教授(現在は名誉教授)を訪ねて相談したそうです。すると寺沢教授は、日本にはメープルシロップのよい木がない。いまから輸入して植林していたら、いざ商品ができるころにあんたは死んでるだろうといわれたそうです。そこで提案されたのが、北海道に無尽蔵に自生している白樺の樹液だったのです。

　　　　　「羊をめぐる冒険」の舞台とされる柳生さんの民宿「トント」

柳生さんにとって白樺樹液の採取はまったくの手探りでした。採取できる時期はいつなのか、どんな方法で採取するのか、加工方法はどうするかなど、皆目見当がつかず、試行錯誤の連続だったといいます。わかったのはまだ雪が残る春先の新緑が出るまえの４週間だけ採取が可能なこと、地面から７、８０センチの幹にドリルで小さな穴をあけて、管をとりつけてバケツにつないで採取することでした。そしてマイナス１０℃以下の雪の上を毎日雪上車で何百本も集荷して回るという過酷な作業でした。白樺樹液はタンパク質などの養分を含むため、空気に触れると酸化したり腐敗したりするので、加工方法も暗中模索でした。失敗が何年もつづき、何度も投げ出そうと思ったそうです。それでも寺沢教授の指導のもと二人三脚で、加熱殺菌して無添加のまま真空状態で瓶詰めする方法を確立することができたのでした。飲める樹液は１年に４週間しか採れないので、ここへ辿り着くまでに４年ほどかかったといいます。こうしてようやく無添加・天然飲料の白樺樹液が商品化できたのでした。しかしこれで終わりではなく、今度はどう販売すればよいかわからず、それから四苦八苦がつづいたそうです。いまでは北海道の道の駅や空港の売店などどこでも販売されていて、北海道観光の記念や土産話として旅行者に飲まれようになっています。私は柳生さんを訪ねてはじめて本物の白樺樹液を味わったのでした。その印象は、ほとんど水感覚でくせがなく、飲んだ後の口の中にほんのり甘みを感じるだけの、やや印象のうすい飲み物でした。

　　　　　　　　　　　　白樺樹液は雪をかき分けて採取する

白樺樹液を健康に役立てようと考えていたぷろろは、単なる飲み物としてではなく、その効用に重点をおいていたのでさらに研究をつづけました。寺沢先生にも面識いただき、いろいろ教えていただいたことで自信を深めました。そして白樺の樹皮や葉にも、ビタミンCやタンニン、サポニン、ベチュリン酸、フラボノイドなどの優れた成分が含まれていることが分かり、あえて樹皮と葉のエキスを抽出して白樺樹液に加えることにしました。こうして天然成分１００％の「ぷろろ白樺の恵み」が完成したのです。エキスを抽出するために原材料を山形県の工場へ送り、成分を損なわないように減圧低温蒸留装置に樹液と樹皮と葉を入れて蒸留し、エキスを抽出したら、それを再び北海道の工場に送り返して、白樺樹液にエキスをブレンドして瓶詰めし「白樺の恵み」が独自ブランドで完成したのです。年間在庫を確保し、保管・管理は北海道美深町で行い、注文に応じて北海道から全国に向け発送しています。このため本州には３日、九州には４日を要するため、一部の地域の方にはご不便をおかけしています。

　　　　　　　　　　　　　　完成した「ぷろろ白樺の恵み」

一方、白樺の木は本州の人にもよく知られていますが、「白樺樹液」を知る人は多くありません。ネット通販では検索されることが少なく、普及は簡単ではないことがわかりました。そこで水の代わりに白樺樹液を使ったオーガニックな白樺化粧品を開発し、フロントエンドで化粧品を、バックエンドで白樺樹液を普及することにしたのです。柳生さんの紹介で、山形県庄内町にハーブ研究所代表の山澤清さんを訪ねました。山澤さんは３０年以上も農薬も化学肥料も一切使わない、きわめて厳格な基準のオーガニックハーブの栽培に打ち込んでいました。そのハーブと白樺樹液を融合させれば、素晴らしいオーガニック化粧品ができると考え、生産を委託することにしたのです。山澤さんは学校を卒業すると地元の農協に就職し、穀倉地帯の庄内平野に農薬とそれを散布する大型農業機械を販売する仕事に従事したのでした。機械散布なので農家の労働が軽減され、除草の手間もかからず、収量も上がって大いに喜ばれて、自分はいいことをしていると得意絶頂だったといいます。ところが１０年ほどたったとき、子供の頃に一緒に遊んだ仲間たち、つまりカエルもドジョウもメダカもホタルも、小川や田んぼからいなくなったことに気づき、強いショックを受けます。農薬散布によって彼らを絶滅させてしまったのです。とんでもないことをしたと気づいた山澤さんは、仕事をやめて考え、人生を１８０度転換して農薬といっさい手を切ることにしたのでした。それから３０年余の間、農薬も化学肥料も一切影響のない最上川の河川敷や月山の麓の国有地を借りて開墾し、西洋ハーブの栽培を始めたのでした。農薬を使わないので畑は雑草だらけです。収穫は地元の婦人たちの手摘みになります。植物を徹底して研究し、いまでは人間よりも植物の側からものごとを考えるようになったといいます。

　　　　　　　　　　　　　　山澤さんのハーブ畑

山澤さんが手塩にかけて育てたものの一つに、からすうりという植物があります。昔から東北の農村女性の手荒れやあかぎれの手当てに使われてきた和製ハーブなのですが、農薬の影響で花粉を媒介するスズメ蛾がいなくなり、からすうりは全国から姿を消してしまったのでした。そこで彼は仲間に呼びかけて山などに残っていた種を集めて、夕方から花をひらくからすうりに人工授粉をくり返し、６、７年もかけて再生栽培に成功したのでした。植物に与えるたい肥も家畜の糞は使わず、独自のオーガニック飼料で育てた１５００羽のハトの糞を３年ほど熟成させてたい肥に使っています。一般の家畜のエサには規制があり、狂牛病予防の薬や成長促進ホルモンを混ぜるため、それらの成分が植物に吸いあげられるのを防ぐためです。鳥インフルを避けるための特別に工夫した施設で飼育しています。このオーガニックに徹した原料と白樺樹液をコラボさせれば、世界でもっとも安全・安心なオーガニック化粧品ができると確信したのでした。白樺樹液を水の代わりに使い、ハーブとコラボしたぷろろ化粧品はこうして誕生したのです。

　　　　　　　　ハーブ研究所で蒸留装置の説明をする山澤清さん

しかしぷろろ化粧品はスタートしたものの、世間にはまったく無名でした。創業から４、５年はプロモーションの失敗も重なって大赤字がつづき、倒産寸前に追い込まれました。ところが「捨てる神あれば拾う神あり」という諺のように、そのころ酒さ様皮膚炎を発症したYouTuberの方が、ぷろろ化粧品のことをYouTubeで紹介されたのです。どの化粧品も刺激になって使えなかった肌が、ぷろろ化粧品だけは何の刺激もなく使えたと感動して、それをYouTubeの動画に投稿されていたのでした。その動画を見た酒さ様皮膚炎に悩む人から、つぎつぎに注文が入ってきたのです。こうした人々の役に立つことが分かったことで、酒さや酒さ様皮膚炎、敏感肌で悩む人々に向けてブログで呼びかけていきました。白樺樹液は、白樺が根細胞を通過して吸い上げた水分のため、粒子が小さく浸透しやすいので、合成の浸透剤を使う必要がなかったことがさいわいしました。いまやぷろろ化粧品のお客様の大半は、そうした悩みをお持ちの方々で占められるほどになっています。さらに本物のオーガニック志向の方々にひろく役立てればと考えています。また白樺の恵みも、体内から保湿し、ターンオーバーを整え、シミやくすみなどの皮ふの改善とお肌の健康づくりに役立ってきました。また８０％の病気に関係するといわれる体内の活性酸素を除去する作用が、体内の浄化や、手術やガン治療後の方々のケアにも飲用され役立っています。期せずして天然成分とオーガニックにこだわったことが、お肌や健康のために役立つことになったのでした。

　　　　　　　　　　　　　　開発したぷろろ白樺化粧品

白樺樹液はいまや北海道美深町の町おこし事業になっています。毎年４月には「白樺樹液まつり」が町をあげて盛大に開催されています。ここ２年間は新型コロナのため休止となりましたが、北海道だけでなく全国から観光客が訪れるようになり、初日は町の公営施設で講演会や地元物産の販売、羊毛を使ったワークショップなどが催され、美深温泉施設で行われる前夜祭の歓迎パーティーでは婦人たちの手づくりの地元料理がふるまわれ、アイヌの人々の民族舞踊なども披露されます。

　　　　　　　　　　　　　樹液まつりの風景

本まつりは町から２０kmほどオホーツク海側に入った仁宇布という土地の白樺林のそばにバスで移動して開催されます。またこの白樺まつりにあわせて、５年に１回のペースで、国際樹液サミットが開催されてきました。寺沢先生が中心になって海外からの樹液研究者や事業関係者を招き、町の実行委員会によって催されてきました。当初はこの片田舎町に世界各国からお客様を迎えて、言葉や食事の問題などもあり大変だったそうです。しかし町のみなさんが一体になっておもてなしをし成功させたのでした。２０１５年には、ぷろろ健美堂もシンポジウムのパネラーとして招待を受け討論に参加しました。

　　　　　　　　　　　　シンポジウムで講演する寺沢名誉教授

またぷろろはこのところ不思議な体験と幸運にも恵まれました。東日本大震災で原発事故が発生したとき、農畜産物をはじめとする放射能汚染が大きな社会不安になりました。ぷろろも当然影響が心配されたのですが、さいわいに白樺樹液もオーガニック化粧品も、まったく放射能の影響を受けることはありませんでした。白樺樹液は北海道北部の汚染とは無関係な土地で採取・生産していたこと、化粧品の山形県庄内町は日本海側に位置し、秋田県との県境に近い北部でもあったので、放射能の影響をまったく受けなかったのです。東日本の放射能は、東北地方を縦貫する奥羽山脈に遮られて、これを越えることがなかったのでした。

また最近では、ロシアのウクライナ侵攻の影響により、日本とロシアの関係がこじれていますが、輸入を断念して北海道での生産に切り替えたことで、まったく影響を受けずに済みました。振り返ってみると、ぷろろは意図せず、なにかに導かれて今日に至ったようにも思われるのです。こうしてご利用者の皆さまに安心して使用いただけていることは、本当にうれしく感謝のほかありません。ご利用者のみなさまにとってぷろろは単なる化粧品の購入先に過ぎないかもしれません。しかし、ぷろろはご利用者のみなさまを単なる一元のお客様とは考えておりません。私は協同組合運動の出身であるので、ご縁をいただいた方々はみんなぷろろにとっての仲間であり、家族の一員であると思っています。仲間や家族の生活と健康のお役に立てることがなによりのよろこびでありしあわせです。これからも関係者一同、初心を忘れず、ぷろろがより多くのみなさんの健康や美容のお役に立つことを願って精進してまいります。

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