流血ブリザード ミリー・バイソンの気合いだ!バッチコーイ! -23ページ目

キングコブラ青春こじらせ物語 ⑥三重キンコブでヤンキーmeets若○!!

流血ブリザードの自主企画イベント「狂喜!! 鬼畜人間集会」が軌道に乗り出してから、アタイは何かにとりつかれたようになっていた。



だんだん、フロアに知らないお客さんが増えていくことが「自分たちのやってることは間違ってない」という自信になっていった。(そう思うこと自体が間違ってるが…💦)


相変わらず対バンからバカにされたり、アンチから「またアイツらか!」なんて言われたりすることもあったけど、それがよけいに「なめんなよこの野郎!!」っつー気持ちを加速させた。

(日本中探しても、もしかしたら世界中探してもウチらみたいなバンドはおらんはずや。今はまだまだ無名やけど、有名になってやる!!)
第3火曜の夜、KING COBRAのステージでマイクに向かって吠えながら、心の中でそう吠えていた。目の前では、いつも通りグチャグチャのフロアで、裸のメンバー達と高校生と不良大人がキャッキャしてたがな…笑


きっと、他のメンバーも自信を持ち始めてたと思う。アタイは、ベースのヴォルドの変化に気づいた。それまで無口で笑顔を見せなかったヴォルドが、はっきり聞き取れる声でしゃべり、歯を見せて笑うようになったのだ。
しかも、ギグでもほぼ棒立ち状態でベースを弾いていたのが、ステージで前に出て頭を振るようになっていた。それを見るとなんだか嬉しかった。自分も負けないように頑張ろうと思った。

この時期、流血ブリザードのスタッフでシェアハウスの同居人だったばあばらが、ドラマーとして参加していた。


余談だが、ばあばらとは、パンクアイドルユニット「パンドル」としてKING COBRAのステージに立ったこともある。


そんなわけで、メンバー全員での練習プラス、アタイとばあばらとヴォルドの三人で時々スタジオに入ったもんだ。
下手くそなギタリスト&初心者のドラマー&おとなしいベーシストのリハーサル。こないだズレまくってた演奏がちょっと合うようになる。昨日全然できなかったことが今日ちょっとできるようになる。そういうことが楽しかった。

それまで、ギターうまくなりたいって思うことがなかったんだが、演奏合わせるのって楽しいな…って思った。
ばあばらも「ヴォル君とミリーと、この三人でスタジオ入るの楽しい!」って言ってくれた。
みんな笑顔でアタイも楽しい。
明日もスタジオ入ろうな。

だけど、ヴォルドはムリしてたんだろう。
徐々にまた、ヴォルドの表情から笑顔が消えていった。

そんな中、少しずつ他府県のイベントに呼ばれるようになってきた。ちょうど三重にKING COBRAの支店ができた頃で、若○○夏、クリトリック・リス、流血ブリザード…などという異常なブッキングに誘われた。笑  
もちろん喜んで三重に行ったさ。

若○さんは芸能人。流血メンバー一同、大興奮!!

三重KING COBRAは、周りに何もないところにポツンと建っていた。地元のお客さんは、芸能人目当てに来るヤンキーしかいない。車で浜崎あゆみをかける層。ライブハウスにいないタイプ。やりにくいなぁ…

と思っていたのもつかの間、ギグが終わったらヤンキー達がぞろぞろ寄ってきた。
「ねーさん!普段ロックとか聴かんけどロックもえーやん!」って言ってくれたのだ。一緒に写真を撮りまくり、mixiのIDを教えまくった。ヤンキー、えー奴らやん。

そしてヤンキー達のお目当て、若○さん登場!!

しかし!!テンション上がったヤンキーの一人が、若○さんの脚をさわったのだ。ステージとフロアの間には隔たりがなかったから、挙げた手がたまたま当たっただけかもしれないが…
若○さんは5分でステージを下りてリムジンで去っていった。
セキュリティもっとつけよーよ…

アタイらは、そのまま三重KING COBRAで朝まで飲んだ。正確には昼までいた。それは8月のとても暑い日だった。

ライブハウスを出て、日陰でクリトリック・リス スギムさんの相方、のび太さんをまじえてみんなで話した。のび太さんが「スギムさんは詩人、流血ブリザードはアート」だって言ってくれた。スギムさんに関しては当たってる気がするが。

すると、どこからともなく見知らぬオッサンがアタイらに近寄ってきて、手製のZINEを渡してきた。彼は反戦思想について熱く語りだした。

その思想には共感するけど…それはとても暑い日だった。夏の気温とポリティカルな話題のせいで、30分もすると頭がクラクラしてきた…

アタイらは、その男性を置いてとりあえずコメダ珈琲店に行くことにした。ユダとアトランティスは、スタスタ歩いて先に行っちまった。

「ミリー」
ヴォルドの歩みが遅くなった。

「僕、流血辞めようと思ってるねん」

なんとなくそんな気がしてたな…

「なんで?せっかく、いい感じになってきたやんか?」

「僕はもともと、こんなバンドがやりたかったわけちゃうから。"勝てば官軍"とか全然いいと思わんし、脱いだり汚したりするパフォーマンスにも賛成できへん。もう、僕は精神が持たへん。年齢的にも、正社員として就職したい」


…出たー!!バンド脱退の必殺技、ザ・就職!!
こっちはフリーターになったばっかだっつーの!!

ヴォルドは続けた。
「ガガガSPみたいなアーティストさんと演れるならまだしも…」


それからまもなく、ガガガSPさんと共演の機会が訪れることを、アタイもヴォルドもまだ知らなかった。

-つづく-