1.

『科学だけを信じる?』において述べたが、科学だけでは、世界全体を把握できない。

世界全体を把握するのは、世界観すなわち宗教だけである。

人間は不可避的に宗教家であり、誰でも毎日「宗教的断定」を下して生きている。

科学的知識を道具として利用するが、総合的判断を下す際に利用するのは宗教である。

ノンクリスチャンは、聖書を権威とみなしていないが、クリスチャンは権威とみなす。

聖書には、人間が知り得ない領域の情報が記されているので、世界全体を把握する上で、聖書は必要不可欠だと考えている。


ダニエルはこう言った。「神の御名はとこしえからとこしえまでほむべきかな。知恵と力は神のもの。
神は季節と時を変え、王を廃し、王を立て、知者には知恵を、理性のある者には知識を授けられる。
神は、深くて測り知れないことも、隠されていることもあらわし、暗黒にあるものを知り、ご自身に光を宿す。(ダニエル2・20-22)


「神は、深くて測り知れないことも、隠されていることもあらわし、暗黒にあるものを知り、ご自身に光を宿す。」

神は、人間が測り知れない深遠な事柄も、隠れた事実も、暗黒にあるものも、知っておられる。

それゆえ、われわれは、チーズ全体を食べることができる。

科学しか信じない人は、永久にチーズ全体を食べられない。彼らがもし、世界全体について解釈したならば、越権行為をしたことになる。

自分ができないことを、あえて自分の原則「科学しか信じない」「データから導き出された知識しか受け取らない」を否定して行っていることになる。

2.


これがその夢でした。私たちはその解き明かしを王さまの前に申し上げましょう。
王の王である王さま。天の神はあなたに国と権威と力と光栄とを賜い、
また人の子ら、野の獣、空の鳥がどこに住んでいても、これをことごとく治めるようにあなたの手に与えられました。あなたはあの金の頭です。
あなたの後に、あなたより劣るもう一つの国が起こります。次に青銅の第三の国が起こって、全土を治めるようになります。
第四の国は鉄のように強い国です。鉄はすべてのものを打ち砕いて粉々にするからです。その国は鉄が打ち砕くように、先の国々を粉々に打ち砕いてしまいます。
あなたがご覧になった足と足の指は、その一部が陶器師の粘土、一部が鉄でしたが、それは分裂した国のことです。その国には鉄の強さがあるでしょうが、あなたがご覧になったように、その鉄はどろどろの粘土と混じり合っているのです。
その足の指が一部は鉄、一部は粘土であったように、その国は一部は強く、一部はもろいでしょう。
鉄とどろどろの粘土が混じり合っているのをあなたがご覧になったように、それらは人間の種によって、互いに混じり合うでしょう。しかし鉄が粘土と混じり合わないように、それらが互いに団結することはありません。
この王たちの時代に、天の神は一つの国を起こされます。その国は永遠に滅ぼされることがなく、その国は他の民に渡されず、かえってこれらの国々をことごとく打ち砕いて、絶滅してしまいます。しかし、この国は永遠に立ち続けます。(ダニエル2・36-44)


ダニエルの解き明かしは、超自然的であった。

なぜならば、ネブカデネザル王は、自分が見た夢を明かさなかったからである。

見た夢を明かさずに解き明かしを求めたので、カルデヤ人の預言者たちは「そんなことできません」と言った。

しかし、ダニエルだけはその見た夢をも言い当て、その解き明かしも行った。

それゆえ、このネブカデネザルの巨大像の話は、本物である。

神以外に、他人の夢の内容を知っている者はいないからである。

3.

金の頭―バビロニア
銀の胸と両腕―メド・ペルシャ
青銅の腹ともも―ギリシア
鉄のすねと鉄と粘土の足―ローマ

時代が経つにつれて、栄光が減退していく。

最後は鉄と粘土の混合である。

そして、鉄と粘土の時代に現れた「一つの石」である神の国によって滅ぼされる。


この王たちの時代に、天の神は一つの国を起こされます。その国は永遠に滅ぼされることがなく、その国は他の民に渡されず、かえってこれらの国々をことごとく打ち砕いて、絶滅してしまいます。しかし、この国は永遠に立ち続けます。


この「一つの石」は「鉄と粘土の足を打ち」砕いた。


あなたが見ておられるうちに、一つの石が人手によらずに切り出され、その像の鉄と粘土の足を打ち、これを打ち砕きました。(ダニエル2・34)


つまり、神の国は、ローマ時代に現れ、ローマ帝国と戦って勝つ。

イエスはローマ時代に現れ、ローマ帝国と戦って打ち勝たれた。

パウロはそれが「再臨」のときに起きると言う。


しかし、おのおのにその順番があります。まず初穂であるキリスト、次にキリストの再臨のときキリストに属している者です。
それから終わりが来ます。そのとき、キリストはあらゆる支配と、あらゆる権威、権力を滅ぼし、国を父なる神にお渡しになります。
キリストの支配は、すべての敵をその足の下に置くまで、と定められているからです。
最後の敵である死も滅ぼされます。(1コリント15・23-26)


「キリストはあらゆる支配と、あらゆる権威、権力を滅ぼし」は、「その国は他の民に渡されず、かえってこれらの国々をことごとく打ち砕いて、絶滅してしまいます」と同義である。

では、「再臨」はいつ起きるのか。

イエスと同時代である。


まことに、あなたがたに告げます。ここに立っている人々の中には、人の子が御国とともに来るのを見るまでは、決して死を味わわない人々がいます。」(マタイ16・28)


すでに紀元1世紀に再臨は終わっている。

したがって、「ダニエルが解き明かしたネブカデネザルの像は、紀元1世紀に粉砕された」ということが分かる。

4.

像が伝えるメッセージは次のとおり:


(1)人間王国の栄光は、時間とともに縮小する。

(2)人間王国は、キリストの御国により絶滅する。

(3)紀元1世紀以降、人間王国は神の国に対抗できない。


われわれが住む「新約世界」では、キリストだけが王であり、神の国だけが国である。

日本やアメリカ、ロシアなどの諸国は、神の国の出先である。

出先であることをやめるならば、裁かれる。