女は男の子を産んだ。この子は、鉄の杖をもって、すべての国々の民を牧するはずである。その子は神のみもと、その御座に引き上げられた。
女は荒野に逃げた。そこには、千二百六十日の間彼女を養うために、神によって備えられた場所があった。
さて、天に戦いが起こって、ミカエルと彼の使いたちは、竜と戦った。それで、竜とその使いたちは応戦したが、
勝つことができず、天にはもはや彼らのいる場所がなくなった。
こうして、この巨大な竜、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれて、全世界を惑わす、あの古い蛇は投げ落とされた。彼は地上に投げ落とされ、彼の使いどもも彼とともに投げ落とされた。
そのとき私は、天で大きな声が、こう言うのを聞いた。「今や、私たちの神の救いと力と国と、また、神のキリストの権威が現われた。私たちの兄弟たちの告発者、日夜彼らを私たちの神の御前で訴えている者が投げ落とされたからである。
兄弟たちは、小羊の血と、自分たちのあかしのことばのゆえに彼に打ち勝った。彼らは死に至るまでもいのちを惜しまなかった。
それゆえ、天とその中に住む者たち。喜びなさい。しかし、地と海とには、わざわいが来る。悪魔が自分の時の短いことを知り、激しく怒って、そこに下ったからである。」
自分が地上に投げ落とされたのを知った竜は、男の子を産んだ女を追いかけた。(黙示録12・5-13)


この箇所は、昇天後、つまり、紀元1世紀に、天において「キリストが勝利し、サタンが法的に敗北した」ことを啓示している。


女は男の子を産んだ。この子は、鉄の杖をもって、すべての国々の民を牧するはずである。その子は神のみもと、その御座に引き上げられた。


ここで、「女」はイスラエル(のうちの真のクリスチャンたち)で、「男の子」はイエスである。
「鉄の杖」は強固な支配を意味し、「すべての国々の民を牧する」は、全民族がイエスの弟子となる(マタイ28・19)ことを示す。
「その子は神のみもと、その御座に引き上げられた」
すなわち、イエスは十字架・復活後、昇天された。


女は荒野に逃げた。そこには、千二百六十日の間彼女を養うために、神によって備えられた場所があった。


1260日は、約3.5年。
預言書において「日」を文字通りの「一日」と考えてはならない。
これは、35年を示している。
昇天があったのが紀元30年頃。それから約35年間、紀元65年頃までイスラエルは「神によって備えられた場所」に避難する。


さて、天に戦いが起こって、ミカエルと彼の使いたちは、竜と戦った。それで、竜とその使いたちは応戦したが、
勝つことができず、天にはもはや彼らのいる場所がなくなった。


イエスの昇天により、サタンの支配は崩壊した。
「天」は「王座」であり、「地を支配する場所」である。
イエスが天に昇り、サタンが天から追い出されることは、「支配者の交代」を意味する。
イエスは、人間の代わりにすべての律法を守られ、神の契約を成就された。
元初に、神がアダムと取り交わされた契約は「完全に服従するならば、地の支配者になれる」ということなので、イエスはこの契約の報酬を受け取られた。


こうして、この巨大な竜、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれて、全世界を惑わす、あの古い蛇は投げ落とされた。彼は地上に投げ落とされ、彼の使いどもも彼とともに投げ落とされた。


サタンが天から追い出されたので、彼にはもはや、地上における権威は一切存在しない。
それゆえ、「全世界を惑わす」ことはもはや不可能である。


そのとき私は、天で大きな声が、こう言うのを聞いた。「今や、私たちの神の救いと力と国と、また、神のキリストの権威が現われた。私たちの兄弟たちの告発者、日夜彼らを私たちの神の御前で訴えている者が投げ落とされたからである。


「神の救いと力と国と、また、神のキリストの権威が現われた」
天における変化は、地上における変化に先立って実現し、それは「法的な事実」となる。
つまり、われわれが生きている新約世界において、われわれが勝利する約束を得ているのは「すでに天において法的な状況が変化し、神の救いと力と国が確立し、神のキリストの権威が現われた」からである。
ディスペンセーション主義は、このことが終末に起きると言うが、黙示録は「キリストの昇天後の霊的戦いにおいてすでに起きている」と教えている。


兄弟たちは、小羊の血と、自分たちのあかしのことばのゆえに彼に打ち勝った。彼らは死に至るまでもいのちを惜しまなかった。


「ミカエルと彼の使い」と「竜」の戦いと同時に、地上でも「クリスチャン」と「獣」の戦いがあったことがわかる。
キリストの昇天後、クリスチャンは迫害の中で「自分たちのあかしのことば」を固く保つことによって竜に打ち勝った。


それゆえ、天とその中に住む者たち。喜びなさい。しかし、地と海とには、わざわいが来る。悪魔が自分の時の短いことを知り、激しく怒って、そこに下ったからである。」


「天とその中に住む者たち」、すなわち、御使いと昇天したクリスチャンは、天の戦いにおける勝利を喜ぶべきである。
しかし「地と海」、すなわち、イスラエルと異邦人世界には患難がやってくる。
天の戦いに敗れ、法的に敗北したサタンは、自分の臨終の時が近いことを知って、絶望的な最後の戦いを挑もうとしていた。


自分が地上に投げ落とされたのを知った竜は、男の子を産んだ女を追いかけた。


「地上に投げ落とされた」つまり「地上支配の権威を失った」サタンは、荒野に避難していた「男の子を産んだ女」すなわち「神の民」に襲いかかる。

紀元64年のローマ大火においてネロがその責任をクリスチャンに押しつけた。

その頃から、紀元70年までの約7年間、教会は大患難に巻き込まれた。

パウロとペテロが殉教したのは紀元67年頃であると言われている。

昇天(紀元30年頃)から「1260日」(つまり約35年間)荒野に避難していた教会が、64年頃から迫害に巻き込まれたのは、「悪魔が自分の時の短いことを知り、激しく怒って」「男の子を産んだ女を追いかけ」たからである。

黙示録は、キリストの勝利と大患難が紀元1世紀に起きることを示している。