日本GDP、4位に 円安響きドイツ下回る

55年ぶりに日独が逆転

生産性の低迷も続く

2024/02/16

 

  2023年の国内総生産は、物価の影響をふくめた名目GDPが前年より5・7%増え、591・4兆円だった。米ドルに換算すると1・1%減の4・2兆ドルで、ドイツ(4・4兆ドル)に抜かれて世界4位に転落した。1968年に西ドイツ(当時)を追い越して以来、55年ぶりに日独が逆転した。

朝日新聞一面

 

【円安と物価上昇】
 為替相場と物価上昇率の影響

 円相場は2011年には一時、1ドル=75円台をつける円高水準でしたが、去年は平均で1ドル=140円台まで値下がりしています。
円安が進むとGDPを円からドルに換算する際、目減りすることになります。
 また、名目GDPは物価の変動に左右されます。
ドイツでは去年、物価の変動を除いた実質のGDPの成長率はマイナス0.3%でしたが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあってエネルギーなどを中心に物価が高騰したことから、名目のGDPはプラス6.3%となりました。

 

【国内の消費・投資伸びず】
 一方、日本では1990年代のバブル経済の崩壊以降、長年にわたって低成長やデフレが続いてきたことも今回の逆転の背景にあると指摘されています。
 賃金が十分に上がらず個人消費が伸び悩んだほか、企業も国内への投資に慎重な姿勢を強めました。

 「輸出大国」を支えた製造業では、貿易摩擦や円高の影響で海外向けの製品を現地生産にシフトする動きも進みました。
日本の名目GDPのうち、「設備投資」の伸び率は、1988年にはプラス16.5%でしたが、去年はプラス4.6%にとどまっています。
 

【生産性の低迷】
 どれだけ効率的に製品やサービスを生み出すかを示す生産性の低迷も続いています。
日本生産性本部のまとめでは、日本の1時間あたりの労働生産性は、おととし2022年、OECD=経済協力開発機構の加盟国、38か国中30位。
 比較可能な1970年以降で最も低い順位となり、11位だったドイツに差をつけられています。
とりわけサービス業は、製造業に比べてデジタル化や省人化が十分に進んでいないと指摘されています。

OECDによりますと、2022年の各国の潜在成長率は、
▼アメリカが1.9%、
▼ドイツの0.8%に対し、
▼日本は0.6%にとどまっています。