国連総長

 “ウクライナ侵攻で

世界的食料不足のおそれ 対応を”

 

ウクライナ侵略戦争 2022/05/19

 

 国連のグテーレス事務総長は、ロシアのウクライナ侵攻で小麦などの穀物の輸出が減り、このままでは世界的な食料不足に陥るおそれがあるとして、滞っている穀物などの輸出の再開に向けて対応を急ぐよう訴えました。
 国連のグテーレス事務総長は18日、アメリカの呼びかけで国連本部で開かれた世界の食料安全保障を話し合う閣僚級会合に出席しました。
 このなかでグテーレス事務総長は、ロシアの侵攻でウクライナからの小麦などの穀物の輸出が、また、ロシアからの肥料などの輸出が減って、世界的な流通量が減少し価格も高騰しているとして、このままでは世界的な食料不足に陥るおそれがあると指摘しました。

--------・--------・

 世界有数の穀倉地帯として知られるウクライナがロシアによる侵攻を受け、国際的な食糧危機が懸念されています。世界各地にどれほど深刻な影響が出るのか、日本への影響はどうなのか。

 ―ウクライナは食糧供給源として、

どれほど重要な位置にあるのでしょうか?
世界の小麦輸出はウクライナが9%、ロシアが20%


 ここ数年、世界の小麦輸出はウクライナが9%、ロシアが20%で、2国だけで約3割を占めています。2020年の国連の世界輸出統計では、トウモロコシはウクライナが12%、ロシアが1%、大麦はウクライナとロシアがそれぞれ7~8%、ヒマワリ油はウクライナが53%でロシアが20%と、小麦以外でもかなりのシェアを占めています。

 

―2月24日からの侵攻で、

その量はどれくらい減ることになるのでしょうか?
農産物輸出量は1900万~3400万トン減る

 ロシアからの小麦輸出は大きな変動はないようですが、ウクライナについては現在、様々な推計が出ています。米大手コンサルのマッキンゼーの報告では、この戦争の規模と長期化の状況によりますが、22年のウクライナの小麦やヒマワリ油などの農産物輸出量は1900万~3400万トン減るとしています。さらに23年の予想としては、1千万~4300万トンの間で減ると推計されています。これにより、6千万~1億5千万人相当の食糧供給に影響を及ぼす可能性があると考えられます。

ロシアによる封鎖で穀物輸出できず

国際機関「世界食糧危機回避を」
 ―多くの人が飢えの危機に直面するのですか?

 特に、中東とアフリカ地域では深刻です。シリア、イエメン、リビアなどの紛争地は、トルコ経由でのウクライナやロシアからの小麦輸入に頼ってきました。お金のある国では、ウクライナからの輸入減による物価上昇が起きても、物が買えなくなることはなかったり、政府の補助があったりしますが、お金のない国のお金のない人たちは、真っ先に食べるのに困る状況に陥ります。