企業倒産、増加
中小の後継者難が深刻に
人手不足倒産が
リーマン・ショックがあった2008年を直近のピークに減ってきた企業倒産が増勢に転じる見込みだといいます。昨年19年は1~11月の件数が約8千件で、通年で18年実績(約8200件)を上回り、20年も増加傾向が続く見通しです。理由が後継者不足の倒産や人手不足倒産が上げられています。倒産の現状を調べてみました。
後継者不足の倒産
理由は、後継者不足です。バブル崩壊後に不動産関連などの倒産が相次いだ1990年代と異なり、後継者難から事業継続に行き詰まる事例が目立っているといいます。世界経済の減速懸念や、少子高齢化の問題が深刻になってきています。
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帝国データバンクの調べでは2019年の企業倒産は8354件だった。前年より291件増えた。増加は2年ぶりだ。ただし大企業の倒産は少なく、倒産時に企業が抱えていた負債(ふさい)(借金)総額は1兆4135億8500万円と、2000年以降では最も少なかった。
人手不足倒産
倒産の要因で最も多いのは販売不振。ただ、従業員が減って仕事が受けられなくなって収益が悪化するなど、人手不足が一因とみられる倒産は185件にのぼった。4年連続で増えていて、人手不足の調査を始めた13年以降では最多だった。上昇する人件費が負担となって倒産したケースもあるという。
人口の少子化
景気が回復して企業は人手が欲しいのに、働き手の中心となる15~64歳の生産年齢人口が少子化で減っているためだ。全国の商工会議所が中小企業に聞いた調査では、人手が「不足」としたのは15年度の50%から19年度は66%に高まり、深刻になっている。
対策は
企業は多くの人が長く働けるように取り組んでいるが、人材確保が難しい状況は続きそうだ。外国人労働者をもっと受け入れようと、政府は特定技能という在留資格をつくったが、受け入れは進んでいない。高い賃金を出せない小規模な企業は人手不足の倒産が危ぶまれている。
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倒産の職種
13~19年の7年間でみると、最も多いのは道路貨物運送だ。木造建築工事や、介護施設などの老人福祉事業も多かった。トラックのドライバーや、建築職人、介護スタッフなど専門技能を持つ人材が確保できずに倒産した小規模な企業が目立つ。